狙われた母娘-2
ヤバい仕事に手を染めるという怖さより、狙った女の子を拉致して監禁し、思う存分楽しむことが出来るという魅力に佐々木は負けていた。
『美熟女に可愛いJCだね?よ〜し、電車を乗り換えて探そうぜ』
一番やる気を出している佐々木は、先程の痴漢行為で指に付着した甘い蜜をペロリと舐めると、次の電車に我先にと乗り込んだ。
そして佐藤と高橋も二手に別れ、連なる車両の中にターゲットとなる女が居ないか探しながら移動した。
……暫くすると、やや顔を赤くさせた佐々木が佐藤の側に来た。
興奮気味に鼻の穴を膨らませ、耳元で囁く。
『あのさ、川上ゆきえってグラドル知ってる?二両目の車両に乗ってるんだ』
『!!??』
佐藤は俄かには信じられなかった。
17才でグラビアデビューした川上ゆきえは、その豊満な身体で一気にグラビア界を席巻した〈逸材〉であった。
青年誌の表紙を飾れば売り上げは上がり、写真集もDVDも売れまくるというグラビアアイドルの頂点に立った女性である。
だが絶頂期は短く、度重なる事務所トラブルで活動は停止し、21才の時に妊娠・出産して芸能界から引退していた。
『本物かな…?ちょっと高橋を呼んでくる』
走行中の電車の外には出る事は出来ない。
いわば監禁と同じ状態である。
焦らずに高橋と合流した佐藤は佐々木のいう二両目に行き、そして目配せする先に佇む女を見た……。
『……ほ、本当だ…ッ』
三人は目を丸くして固まってしまった。
グレーのスーツをバッチリと着こなす彼女≠ヘとても美しく、肩甲骨を覆う長さの黒髪も、タイトスカートを引き裂かんばかりの大きな尻も、そしてチャームポイントの垂れ目も、世の男共を魅了しまくった十数年前となんら変わらなかった。
『あとさ、あの隣のセーラー服の女の子、ゆきえの娘だよ。さっき話してたもん』
隣に立っている少女はゆきえの肩くらいの身長しかなく、一生懸命に吊革に掴まっている。
黒髪のショートボブがとても可愛らしく、白いラインとスカーフの真っ黒なセーラー服は、あと二つほど先の駅の傍の中学校の制服だ。
『……連絡してくる』
そう言い残した佐藤は車両を変え、残る二人は監視を続ける。
娘の目は二重瞼でパッチリとしており、母親のタヌキ顔とは違ってネコ顔をしている。
丸まった低い鼻に薄い唇はやはり幼く、どこか少年ぽさがある中性的な顔立ちだ。
『……見張ってろって。死んでも見失うなってさ』
言われなくても解っている。
例え『見逃せ』と言われてもお断りだ。
アレ以上に魅力的な熟女を探すなど不可能に近い。
一線級のまま引退した川上ゆきえより知名度が高い元グラドルなど存在しないし、未だに《AV堕ち》を期待されている事からみても、作品の売り上げは保証されたも同然。
そしてあの娘である。
丸みを帯びたショートボブは下手なツインテールなど一蹴するほど可愛らしく、少しだけ生意気そうなあの顔は虐められる為にそうなった≠ニしか思えない。
電車が停まり、ターゲットにされた母娘は駅に降りた。
制服から既に中学校は判ってはいたが、それでも確認の為に高橋は尾行し、佐藤と佐々木はゆきえの後を追う。
信号のある十字路を渡り左折してまた十字路を……二人は獲物を付け狙う捕食者になったような高揚感に包まれている……。
『……ん?この会社…!?』
ゆきえが入っていった会社は、かずさや由芽の勤めていたのと同じ会社だった。
もう鈴木達に場所を教えるのに苦心はしない……連絡して十数分後に、あの白い箱バンは二人の前に現れた。
『よぉフレッシュマン。初っ端から大手柄じゃねえか』
『いや…あのッ…へへ?ラッキーなだけですよぉ』
鈴木達の容姿に少しだけ佐々木は怯んだが、作り笑いで誤魔化した。
とりあえず川上ゆきえとその娘という最高の《手土産》を持って仲間になれたのは、やはり幸運であった。
何も無しに仲間になろうとしたら、何をされるか分からない……そんな怖さを佐々木は感じたからだ。
『でも熟女を探せなんて言ったかな?全然覚えてねえんだけど』
『でもせっかく見つけたんだし、とりあえず姦っとくか?』
『だな。たまには珍味≠喰ってみるのも悪くねえよ』
たまたま見かけた……そんな理由だけであの母娘はターゲットに選ばれてしまった。
本当に罪の重さも人の痛みも知らぬ鬼畜共は、戸惑いすらなく股間を膨らませてニヤついている。
『しかしこの会社も災難だよな。立て続けに三人も離職者が出るなんてよぉ』
『どうせ社長の愛人なんだろ?碌に仕事なんてしてねえよアイツは』
ケラケラと嘲りながら吉田はスマホを弄る。
グラビアアイドル・川上ゆきえを検索しているようだ。
『調べたらよ、本名は川上雪絵なんだと。ひらがな表記にしただけだったぜ。あと現役グラドルのファンも多く、レジェンドグラドルの一人として挙げられる……だとよ』
『じゃあ姦って損はねえな。客の中でも昔ファンだったヤツも居るだろうし』