家族旅行での出来事 1日目 夜の狂宴 その1-2
「本当だ。あいつ、あれでなかなか気が利くと言うか、ませているというか。」
「そりゃあ、敏明君とも長いし、
わたしたち以上のことをいろいろと経験してきているんだもの。
肉体だけじゃなく、精神的にもちゃんと成長してくれているわ。」
「まあ、多少、その方向性が一般的ではないがな。」
その頃、真奈美は帳場にいた。
さっき女将が持ってきてくれた扇風機を返しがてら、お礼を言いに来たのだった。
真奈美がいなくなったのをいいことに、
雅和は一度は引っ込めた手を再び香澄の浴衣の中に入れてきた。
「あなた。真奈美が戻ってきたらどうするの?」
「どうするもこうするもないだろ。真奈美だって知らないことじゃないんだし。
ましてや夫婦同士がしていたって、何の不思議もない。」
「でも、あのご兄弟との約束があるんじゃ……。」
「約束は8時だろ?まだ時間はある。」
「それまでゆっくり待てないの?」
「ボクはさっき、あの娘さんの股間を舐めていた。
君も知っているんだろ?
あの時間、隣の女湯にいたんだろうから、声が聞こえていたはずだ。」
「あなた。女湯に聞こえるとわかっていて、あんなことをしていたの?」
「聞こえるとわかっていたから、していたんじゃないか。
君のジェラシーを募らせようと思ってね。」
「あなた……。」
雅和は香澄のクリトリスを捉え、それを擦りながら話を続けた。
「ボクが若い娘を抱いていると知って、君は嫉妬したはずだ。
それだけじゃない。
彼女の声に刺激を受けて、興奮したはずだ。」
「そ、そんなこと、あるはずがないじゃない。」
「そうかな?おそらく君は、湯船の中でオナニーしていたはずだ。
まあ、これはボクの勘だけれどね。」
「あなた……。」
「ただ、別にそのことを恥ずかしがる必要も、隠す必要もない。
ジェラシーを感じたのならそう言ってくれればいいし、
そのことで興奮したのなら、それもきちんと伝えて欲しい。
ボクは香澄の全てを受け入れる。いや、受け入れたいんだ。」
「やきもち焼きだとか……淫乱だとか……そんな風には思わないの?」
「いや、そう思うだろうね。香澄はやきもち焼きで淫乱な妻なんだ、とね。」
「でしょ?だからそんなこと、正直に言えるわけ、ないじゃない。」
「香澄。やきもち焼き、淫乱。それのどこが悪い?
それこそ、ボクのことを愛している証拠じゃないか。」
「やきもち焼きというのはそうかもしれないけれど、
淫乱、というのは、あなたを愛している証拠にはならないわ。」
「ボクの理想が淫乱妻だとしてもかい?」
「あなた……。」
「香澄。もう、今更改めて言う必要もないだろ?
ボクは変態淫乱妻の君を、身体の底から愛しているんだよ。」
「身体の底から?」
「ああ。身体の底から、ね。」
香澄は雅和に抱き付き、その唇を舐め回した。
雅和の指はすでにヌルヌルに濡れている割れ目へと侵入を始めていた。
そして香澄の手も、夫の股間へと伸びていた。
香澄の浴衣の胸もとを開き、夫が乳首を舌先で転がし始めたタイミングで、
廊下から真奈美の声がした。、
「さ〜てと。部屋に戻ってきたぞ〜。ドアを開けて、中に入ろうかな〜。」
慌てて乳首から口を話し、パンティーの中から手を引いたのは雅和だった。
「あなた。真奈美の目の前でも平気なんじゃなかった?」
香澄は笑いながらそう言うと、はだけかかった浴衣の胸元を整えた。
「……。」
扉の外で時間をつぶしていたのだろう。
真奈美は大きな音を立てて扉を開け、部屋に入ってきた。
「あら、お帰り。どこへ行ってたの?」
「うん。扇風機、返してきたよ。」
「あら。ありがとう。」
「それでね。女将さん?と、約束してきた。」
「女将さんと?なにを約束してきたの?」
香澄は(今度は何を?)と思いつつ、もうそれほど驚きはしなかった。
誰に対しても遠慮せずに思った通りに行動できることが真奈美の良さなのだ、
そうはわかってはいるものの、
相手が史恵ということになると、多少厄介なことも想像できた。
案の定、真奈美の答えは、さっきの松本兄妹との約束の上をいっていた。
「混浴で待ってるから、おばちゃんも来てねって。
でもね。女将さん、お仕事が終わるのが10時過ぎだって。
あ、だから、のぼせちゃうといけないからって言ったら、
大広間?使っていいって言ってたよ。」
「混浴に……。誘ったの?」
「うん。あのお兄ちゃんたちと一緒に入る約束だから、
おばちゃんもおいでよって誘ったの。」
夫は真奈美と香澄の顔を見比べながら、まんざらでもなさそうな顔をしている。
「おいでよって……誘ったたの?」
「うん。そしたら、おばちゃんはお仕事が終わるのは10時過ぎになるからって。
だから真奈美たちだけで楽しんでって。
あ、でも、大広間はお布団敷き詰めて使ってもいいって。」
(布団を敷き詰めて使ってもいいですって?史恵だったら言いそうなことだわ。
それにしても……。)
香澄は高校時代の、あのアパートの雅也の部屋を思い出していた。
「あなた。これって……。」
「いいじゃないか。真奈美なりに考えて約束してきたんだろうし。
女将さんも、興味があれば来てくれるだろうさ。」
「ちょっとあなた。興味があればって言うけれど……。」
「ああ。そういうことさ。
興味があれば、一緒に楽しめるだろうっていうことさ。
さっき、帳場で見た時に、なんとなくそうなるかなって言う気はしたものな。」
「そうなる気がしたて?つまり……そういうこと、なんですか?」
(やっぱりこの人、史恵のことをそんな目で見ていたんだわ。
全く隙も油断もあったものじゃないわ。たったあれだけに時間で……。)