悪夢の幽囚生活-1
翌日から源造は畑仕事に出た。一方助左はそれぞれの座敷牢を往復し、若い女の肉体を貪っている。
女たちは終日裸だった。山中の一軒家といっても電気もガスも使える。スイッチひとつで夏が訪れ、寒さを感じることはない。
意外にも助左は優しかった。食事を運び、風呂にも入れてくれ、寒くないかと気遣ってくれる。女たちにとって、源造のいない今が一番ほっとできる時間なのだ。
「助左衛門様は東京に行ったことはないんですか?」
男に抱かれながら、りかが聞く。
「うん。一度行ってみたいんだ」
「楽しい街よ、華やかで。ももクロのメンバーに会えるかもね」
「ええッ・・・」
助左の眼が少年のように輝く。
「そうだッ、今から行きましょうよ。お姉さんが案内してあげる」
「えッ本当?・・・でも・・・」
「大丈夫よ、夜には帰ってこれるから」
「でも・・・やっぱり無理だよ。父ちゃんに叱られるよ」
「えッ助左衛門様はスマートフォン、持ってないんですか?」
フェラチオを中断して麻衣が問う。
「うん、父ちゃんが買ってくれないんだ」
「スマホぐらい持ってないと女の子にモテないですよォ。・・・そうだ、私が教えてあげる。どこにあるのかなァ、私のスマホ・・・」
「父ちゃんがどこかに隠してあるんだ。探したりしたら俺、怒られるよ」
日中は優しい助左も、父親が戻るとその一部始終を報告した。
「なにいッ、貴様らッ!助左をたぶらかすつもりかッ!」
ものすごい剣幕にお嬢様女子大生たちが怯える。
「ご、ごめんなさい」
「も、もうしませんから」
美貌を引きつらせて謝罪する二人の女に、源造の嗜虐心が沸き立つ。
「あれだけ痛い思いをしてまだこの儂に楯突くとは、この女ども、くノ一 かもしれんぞッ!」
「ええッ女忍者なのかッ」
馬鹿な助左が真に受ける。
「そんなッ・・・違いますッ」
「くノ一なんかじゃありませんッ」
「ますます妖しい。拷問にかけて白状させてやるッ!」
全裸の女が二人、大の字に縛られていた。何をされるのかと不安におののく顔が美しい。
「私たちはくノ一なんかじゃありませんッ。信じてくださいッ」
信じるもなにも、あり得ない作り話なのだ。ただ『拷問』という二文字に脅えた二人には、冷静な判断ができない。
生きたニワトリが数羽運び込まれた。ごく一般的な白色レグホンだ。餌を求めて女たちの間を歩き回る。赤いトサカに黄色いクチバシ。間近で見るそれは意外に大きく、凶暴そうだ。
「何をしようというんですか?」
りかが震える声で聞いた。源造の魂胆が恐ろしい。恐ろしいが聞かずにはいられなかった。
「女体盛りじゃ」
「ニョタイ・・・モリ?・・・」
いぶかしげな表情のりかの白い腹に野菜屑を投げつけた。羽音を響かせてニワトリが集まり、りかが悲鳴をあげる。そのうちの一羽が器用に餌をついばみ、あぶれた鶏がそれを奪う。
「怖いいッ!お願いッやめてッ!」
動かぬ腰を振り立てて鶏を追い払おうとするが、荒縄はますます柔肌に食い込む。
豊かな胸のふくらみも、仰向けのためにいくぶん扁平している。餌置き場にはちょうど良いなだらかな肉丘に、昨日の残飯を振り散らす。
「ギャアーーーッ!」
鶏たちが一斉に群らがり、りかの悲鳴がほとばしる。放し飼いにされたニワトリは驚くほど筋肉が発達し、凶暴で好戦的なのだ。
「いい加減白状せんかッ、おっぱいが引きちぎられるぞッ!」
そう言いながらも撒き餌をする手は止めない。
「違いますッ!くノ一なんかじゃありませんッ!私たちは大学生なんッギャアーーッ!」
昆虫さえも噛み砕く鋭いクチバシで乳首を噛まれ、一段と大きな悲鳴が漏れた。
りかの女体盛りを堪能(?)した鶏たちは、隣の麻衣の身体に群がっていた。むせび泣くりかの肌は喰い散らかされた残飯まみれで、クチバシでつつかれたのかあるいは足の爪が食い込んだのか、無残にも血が滲む。
(もういやァ・・・)
縄を解かれても自力で這うことも出来ない。ぼんやりと天井の一点を見つめながら、麻衣の悲鳴をBGMのように聞いているりかだった。