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真奈美の性春
【学園物 官能小説】

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鈴木家での出来事 2-2

「出先でスキンを使わなきゃいけないような場面が、たまにある、のか?」
「あ、ああ、そう、そうね。ごめんなさい。」
「いや、別に、謝らなくても……。」

田辺の表情に明らかに動揺が走った。
それに気づいて、田辺の反応を一番心配したのは、
明日香と同じ、妻という立場の麗子だった。

(どうやら明日香さんの浮気はご主人夫公認じゃないみたいだわ。
 明日香さん、話の流れでつい口が滑ったのね。)
麗子は田辺の反応からそう推察したのだ。

それでも、言ってしまったものは仕方ないと思ったのか、
それとも開き直ったのか、
明日香はそれ以上弁解しなかった。

(まずいわ。田辺さん、明らかに動揺している。
 明日香さんも謝るつもりも全くないみたいだわ。)
麗子はなんとかその場を取り繕うと、必死に言葉を探しながらしゃべり始めた。
「た、田辺さん。ほら、女にだってそういうことって、
 ほら、あるじゃない、ですか。」

素知らぬ顔の明日香をよそに、
麗子の方がしどろもどろになりながら懸命に弁解しようとしている。
「いいのよ、麗子さん。いずれ話さなくちゃと思っていたことだし。
 それに、そういうわたしの行動を、というか、
 わたしの性癖そのものを認めてくれないのなら、
 それはそれで仕方のないことだわ。」
「ま、まさか、離婚、なんて考えてないでしょうね。」
「ヤダ。それはそれ、これはこれでしょ?
 わたし、夫との生活に別に不満とかがあるわけじゃないし。
 夫のセックスにだって、それなりに満足はしているわ。だけど……。」

征爾があっさりと言い切った。
「時には別のものを味わってみたくなる。それだけのことだろ?明日香。」
「ええ。そうよ。」

麗子は明日香たちの夫婦関係の危機と感じ、慌ててその修復を図ろうと言葉を重ねた。「田辺さん。こんなの、浮気でも何でもないわ。
 変な道徳観に縛られていると、浮気だ、不倫だ、貞操観念だ、
 っていう話になるけれど、その辺りはどうなの?」
「もちろん、十分に話し合ってきたし、理解もしているさ。
 ただ、スキン、と聞いて、少しばかり動揺しただけさ。」
「じゃあ、明日香さんが別の男の人とセックスをしているって言うのは、
 問題じゃないんですね?」

田辺のことも明日香のこともよく知らない麗子は、
一人興奮しながら状況を何とか好転させようと必死だった。
「麗子。落ち着きなさい。
 田辺も、別の男性の存在を咎めているわけじゃないはずだ。」
「麗子さん。どうやら誤解しているみたいだね。
 オレは麗子がオレ以外の男とセックスすることはちゃんと認めているさ。
 というよりも、お互いにそのあたりは自由というか、自己責任というか。
 麗子さんと征爾もそうだろ?
 いや、オレがひっかかったのは、以前、オレがスキンをつけてしようとした時、
 物凄い勢いで嫌がったことがあってな。
 こんなもの付ける男の神経がわからない、だとか、
 そんなんだったらセックスなんかしなきゃいいのに、とか。」

「あの時は本当にそう思ったのよ。
 外した後も、ペニスが何となくゴム臭く感じるのも嫌だったし。」
「それがどういう風の吹き回しだ?」
答えに窮している明日香を救ったのは敏明だった。
「ローション、ローションじゃないですか?
 ほら、例えば……滑りが悪いから、ローションを使ってみたら、
 結構それがよくって病みつきになった、とか……。」

敏明の指摘に明日香は顔を赤らめて下を向いた。 
「そうなのか?明日香。」
「もう。恥ずかしいわ。敏明君の言う通りよ。
 スキンの欠点を克服して余りあるローションの効果、ってところかしら。」
「だったら、そう言えばいいじゃないか。
 ローションを使てくれって、オレにも……。」
「あなたとの時はローションが必要ないくらいに濡れちゃうのよ。
 でも、その男の人との時は、物凄く興奮しているのになぜかあんまり濡れなくって。」

「田辺。だとすればそれはお前の責任だ。」
「オレの?明日香がオレ以外の男とするときに濡れないのが、
 オレのせいだと言うのか?」
「そういうことだ。明日香はきっと、後ろめたさや罪悪感を感じているのさ。」
「えっ?でも、そうした背徳感みたいなものが、
 さらに刺激を高めるんじゃないんですか?」
「未来ちゃん。君の言う通りだ。
 そういうことも言える。でも、明日香は心配性なんだよ。」
「えっ?お母様が心配症?」
「ああ。君たち子どもたちの前では太っ腹と言うか、
 多少のことには動じない、そんな母親を演じているんだろうし、
 田辺の前でも、わたしにとってこんなことくらい大したことじゃないわ、
 っていう感じで突っ張ってるんだろうけれど、それは実は虚勢なんだ。」
「無理をしている、っていうこと、ですか?」
「ああ。わたしと付き合っていた頃は、という前提が必要だろうがね。
 でも、それが彼女の本質だと思う。今でも変わってはいないはずだよ。」

〔セックスの時の服や下着はどうするか〕
〔コンドームを付ける付けない〕〔ローションがどうだこうだ〕
そんな話題になるたびにセックスをいちいち中断してしまう今の状況に、
未来が異を唱えた。
「ねえ。行為を中断して話し合うほど重要な話?
 人それぞれでいいし、その家それぞれでいい。
 違いがあって当然。
 その違いさえも刺激にして、楽しめばいいわけでしょ?
 前戯の仕方一つとっても、人それぞれみんな違うわ。
 ペニスの形も腰遣いも、それぞれ違いがあるから、
 いろんな人としてみたくなるんじゃない?
 みんな同じだったら、誰としたって同じでしょ?
 一人の人で済んじゃうじゃない。」

未来は次第に興奮し、目に涙を浮かべながら訴え始めた。


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