狂った肉宴-4
「めでたい席じゃ、歌でも唄わんかッ」
「・・・・・」
返事はない。
「助左、何かいい歌しらんか?」
「俺、ももクロが好きなんだよね」
能天気な助左が『サラバ、愛しき悲しみたちよ』を口ずさみはじめた。
こころの声が木霊する〜♪
涙と希望のカーニバル〜
生意気なくらいの夜明け〜
「アーソレソレッ」
軽快なリズムに不似合な合いの手が入る・
「ソレソレ踊れ〜踊らんか〜」
箸をスティック代わりに茶碗やグラスを叩きはじめた源造を尻目に、女たちが腰を振りはじめる。
「もっとケツを振らんかァ〜ソーレソレッ」
律動的でアップテンポな曲に合わせ、二人の女子大生が懸命に尻を振り立てた。
サラバ、昨日をぬぎすてて〜
勇気の声をふりしぼれ〜
「りかッ!なんじゃそのシケたツラはッ!笑いながらケツを振らんかッ!」
拳で板敷の床をドンと叩いた。ヒイッと小さな悲鳴をあげたりかは、ひきつった笑みを無理に作って尻肉を弾ませる。
「麻衣ッ!おっぱいとケツを同時に揺らすんじゃッ!」
パンパンと自らの拳を掌に打ちつける。「あ、はい」と小さく頷いた麻衣は、いっそう激しく尻を振り立てた。だが、小ぶりな乳房を揺らすのは容易ではない。狂ったように尻を振りたくり、なり振り構わず乳房を揺らした。
そしてどこまでも〜ピシッ!バシッ!
つづく夢をみた〜ピシッ!バシッ!
酔った源造が踊りに加わり、合いの手代わりに女の尻を打つ。プリンプリンと乳肉が揺れ、ビシバシと尻肉が泣く。
どこまでもつづく空のもとで〜ピシッ!バシッ!
自由になりたい〜ビシッ!バシッ!
女たちの頬を涙が伝う。今の気持ちを代弁する歌詞のためなのか、あるいは尻ビンタによる痛みのためなのか。とにかくゆで卵のような白い尻丘が、熟れたリンゴのように赤く腫れあがっている。
Oh−Ho〜ビシバシッ!ビシバシッ!
Oh−Ho〜ビシバシッ!ビシバシッ!
狂った肉の宴は、今ようやく佳境をむかえていた。