プリンセスナイト-3
つか女子の野郎よ、何で学校来るのよって勉強するために決まってんだろうが。お前ら頭悪い癖に偉そうにしてんじゃねーよ。
しかも色目使ってるとウゼェってさ、お前ら俺に超色目使ってんじゃん。キャピキャピ騒ぎやがって、それに俺と付き合って一週間以上持ったことねぇだろ。まぁ好きでもないのに付き合う俺も最低だけどさ、それは謝る。
愚痴りまくりな俺。自分で言ってて気分悪い。
「冷吾くん?」
「……あ、あぁ。」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない。気にするな。」
「……そう。」
彼女は涼やかな笑顔を見せた。窓から見える綺麗な夕日をバックに、白い歯を見せて微笑んでいる。
「……。」
「ん?」
いかん、見とれてしまった。あの笑顔に。彼女のそれは、全く何事も無関心だった俺の凍てついた心を、暖かい炎が溶かしていくようだった。
「なんでもない」
一応平然を取り繕う。
「なんか冷吾君は、上の空な時が多いわ。」
まさにその通りだ。考えるのがめんどくさい。今日みたいに朝鳥のことについて、あれほど考えたことはない。愚痴ったこともない。
「そうなのか。」
「そうよ〜。」
落書きもある程度落ちた時。大事なことを思い出した。
「あ。」
「どうしたの?」
「俺部活だったわ。」
「じゃ、行ってらっしゃい。また明日ね?」
「変わってこいよ。」
「なるべく頑張るわ。」
「じゃあな。朝鳥。」
そう言い部活に戻っていった。
「冷吾〜、遅い〜!先輩の球なんて軽くて軽くて捕った気しないよ。」
「ははッ、待たせたな〜!!早速投げよう。」
颯爽とマウンドに向かう俺に、将大は呟いた。
「なんか明るくなってんな…。何が起きたんだ?ま、親友としては嬉しいな♪さ、ボール捕るぞぉぉ!」
部活も終え、帰り道。一人で道を歩く俺は、今日の出来事を思い出していた。
『(まさかイジメられる理由がアレだとは思いもしなかったな…。しっかしまぁ…、笑顔が可愛かったなぁ。あれでイジメるほうが頭おかしいな。って俺、朝鳥に惚れてる!?)』
今まで将大以外の人を、『人』と思っていなかった俺に、朝鳥は『人』ってことを教えてくれた。朝鳥のことを思い出すと胸の鼓動が早くなる。むぅ、なんなんだ?
そして家に着く。