帰らぬ妻 (1)-3
「ちゅ……ちゅぅ……ちゅ……ちゅ……ちゅぅ……」
私にとって永遠にも思われた長い口淫奉仕を終え、妻が立ち上がる。二言、三言、言葉を交わして微笑む。ご褒美をちょうだいとばかりにキスをしてまたにっこり笑う。後ろを向き、自分でコートとスカートをたくしあげる。Fに向かって尻を差し出す。
ああ、ゆき――。
ホテル街の狭い通りには、まばらに人が行き交う。無遠慮に覗き見るカップル、慣れた様子で一瞥するだけのデリヘル嬢、スマホでこそこそ盗撮するサラリーマン――。ホストとキャバ嬢とおぼしき酔っぱらいカップルに大声で囃し立てられたときには、さすがにフェラチオを中断しキスでごまかしていた。「あーあ、おじさんたちが覗くからやめちゃったじゃん!」。ホストが私とサラリーマンをひやかし、キャバ嬢がゲラゲラ笑う。無視を決め込む私。サラリーマンはびっくりして去っていった。酔っぱらいカップルがいなくなると、周囲はまた静かになった。
尻を突き出したゆきが、あの恥ずかしいTバックショーツのクロッチに細い指を引っ掛け、横にぐいとずらしている。妻の汚らしく光る花弁が見えた。
「……Fくんの生チンポ、ゆきの臭いまんこに……挿れてください……お願いします……」
片手は建物の壁に、片手はショーツをずらし尻を開くようにして、Fのペニスを受け入れる体勢をとるゆき。遠目にもわかるほど反り返り、屹立したFの怒張。
「ぁあ……ん、はぁん……」
すぐには与えられない。Fの雄しべが、妻の雌しべに突き立てられている。あーーーーーーやめてくれやめてくれ。
「んん……! ぁ、ぁふん……」
固くなったペニス先端が、火照った大陰唇に押し当てられている。花びらを割られ、突付かれる。妻の剥き出しになったクリトリスがカリ首ではじかれ、擦られ、押しつぶされる。ゆきが大好きな焦らしプレイ。数ヶ月前、女性を喜ばせる術をまったく知らぬ私に、ゆきが耳まで真っ赤にして「こうされると気持ちいいんだよ」と教えてくれた前戯である。「パパできる? そう、上手……優しくおちんちんで撫で撫でして……」。情けない夫を励ましながら、夫のペニスをつまみ、火照った顔で自らのクリトリスへ導いてくれた妻の健気な姿が忘れられない。それ以来私は、挿入前にペニスでゆきの陰核をこねくり回すようになった。これをされると妻は抑えが効かなくなり発狂することを学んだ。
「ぁあ……もっと、それ……ぁあ、もっと来て……早く来て……!」
立ったまま尻をくねくね蠢かせ、ペニスの挿入を催促するゆき。
「誰かに見られてるよ。いいの?」
「いいです……生チンポ……欲しいです」
「さっきのホストが言ってた『おじさんたち』、いったい何人いるのかな」
「だってもう……我慢できない……」
「見られながらセックスしたいの?」
「ぁあしたい……。もうだめ……お願いします」
ジュプ……ジュププ……ププ…………ズププ……
「ん……んん…………!」
ジュプ……ジュポ……ジュプ
「あ……ぁああああ……ん、んんん…………あぁああ!」