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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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帰らぬ妻 (1)-4

 私の妻が、私以外の男と路地裏でセックスをはじめた。声を抑えながらも、バックで突かれると歓喜の声がつい漏れ出てしまう。

 俄には受け入れがたい。ゆきが若い頃から野外セックスを好む女だというのは知っていた。素人掲示板でもZの浮気ビデオでも幾度も見せられた。しかし、いざ生で目にするそれは現実離れした切迫感に満ちている。Fがわざと動きを止めると、みずから尻を前後に動かし快楽を求めはじめる。ニッチャニッチャと卑猥な音を立てて、大きな尻を前後に揺らす。こんなの恥ずかしすぎる。

 薄暗い路地裏で、ネオンの光をバックに挿入行為に耽る男女のシルエット。女が突き出した大きな丸みの中心に、男のたくましいペニスが何度も何度も出たり入ったりを繰り返す。

 さっきのサラリーマンが戻ってきた。「あのお姉さん最高だよね」。覗き仲間として私にシンパシーを感じたのか、勝手に話しかけてくる。タバコ臭く、汗臭い。「デリ呼ぼうと思ってたんだけどさ。それどころじゃなくなっちゃった。ヒヒヒ……」。黄色い歯をむき出して、下卑た笑みを浮かべる。「いやホント、どっかの女子アナかってくらいの美人さん。下半身もむちむちだし……こりゃたまらんわー」。いつでも誰にでも、ふたことめには「女子アナ」と評されてしまう妻が、少し可笑しい。

 昔の恋人に野外交尾で犯されながら、その姿を見知らぬ男に視姦されている妻。一人の女をめぐり男たちの肉欲が渦巻くこの倒錯世界で、しかしもっとも狂っているのは、すべてを知りつつ、妻が生き恥を晒すのを止めようともせず、股間を固くしている夫の私である。
 それどころか、愛する女の最悪最低の痴態を見せつけられて、もういっそ、どん底まで狂ってしまいたいとまで考えていた――黒い欲望に脳を完全支配された私は、サラリーマンにそっとささやく。

「あの女、チンコ出せば咥えてくれますよ」

 血走った目でサラリーマンがこちらを振り向く。手に持ったスマホ画面の中で、ゆきが尻をヘコヘコ動かしている。
「前におこぼれにあずかっちゃって。どうです、お兄さんも?」
 冴えない風体の腹の出た中年に、自慢の美人妻を売り渡す夫。ごめん、ゆき――。

 怪訝な表情のサラリーマン、背中を押すべく何度もうなずく私。指でオーケーマークを作り「大丈夫大丈夫」とささやいてみる。実際大丈夫かはもちろん知らない。ゆきかFが拒否すればそれまでのこと。サラリーマンが多少の旅先の恥をかいて終わる話である。万一――この男ならないとは思うが――サラリーマンがゆきに対して危険な行動を取ったら私が出ていく。喧嘩などしたことはないが、追い払うくらいのことならできるだろう。ゆきからはホテル名まで聞いているので、私が登場しても言い訳は立つ。Fは間男という弱い立場ゆえ、「名刺と携帯番号置いてどっか行け。後日連絡する」などと怒ったふりをしてやればよい。

 サラリーマンは戸惑いつつも、震える手でカチャカチャとベルトに手をやり、ファスナーを下げた。


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