自信とプライド-8
「失礼します。」
梶山の孫で秘書の山岸桜がお茶を運んで来た。サラサラ黒髪で色白、清潔感溢れる美しい容姿にマギーと華英は目を奪われた。
「紹介します。秘書の…」
「山岸桜さんですね!」
マギーは紹介されるまでもなく知っている。
「ご存知なんですか?」
「上原さんから伺ってます。素晴らしいお孫さんの秘書がいらっしゃると。」
桜は少し照れながら茶を配膳する。
「素晴らしくはないですよ…」
「いえ、噂通り。うちのジャジャ馬娘が恥ずかしいぐらい!」
それを聞いた華英が膨れる。
「何よー!?誰がジャジャ馬よ!?」
「何よー!?」
「ふん!」
華英はソッポを向いた。
「まぁまぁ、三島さんも素敵な女性ですよ。」
「ですよねー!さすが市長様♪分かってらっしゃる♪」
「ハハハ!桜も座りなさい。」
「はい。失礼します。」
桜は梶山の隣に座る。
「マギーさんと三島さんですよね!初めまして、山岸桜と申します。お会い出来て光景です。」
「こちらこそ、宜しくお願いします。」
お互い会釈する。
「上原さんは別格にしても、お二人も有名人ですから。友達の間でもお二人は凄く人気があります♪」
「いえいえ、そんな大したモンじゃないですから♪」
顔を見る限り、全然謙遜になっていない華英がそう言った。
「刑事として仕事で評価されてナンボですから、私達は。yourTUBEで評判になっても、それは本当の評価じゃありません。」
そんなマギーを見て目を尊敬色にした桜。
「マギーさんも素晴らしい刑事さんですね。上原さんそっくり!」
「い、いえ…、全然…」
明らかに動揺したマギー。その言葉は恥ずかしくもあり、また最も嬉しい言葉であった。
「まぁお二人が素晴らしい刑事だって事は言うまでもないからな!監視カメラの件に話を戻そう。」
梶山の言葉に全員が背筋を伸ばした。
「桜は私の再任に伴いここに来たから、監視カメラの事は分からないだろ?」
「監視カメラですか??何かあったんですか?」
マギーは事件の経緯と監視カメラの件を桜に説明した。
「なる程…、確かにそれは怪しいですね。」
「だがウチは本当に偶然だったと、一応結論が出たんだ。」
「そうですか。でも念のため業者に問い合わせて、修理の記録とか取り寄せておきます。その方が金崎さんの話を裏付ける証拠になりますので。」
桜はそう言って席を離れた。
「素晴らしい方ですね、桜さん。事件への関与のない事をはっきりさせる、ではなく、金崎さんの話を裏付けるとおっしゃいました。人との繋がりを大切にする方なんですね。仲間を守る為に尽力出来る方なんでしょう。」
マギーがそう言うと、梶山はニコッと笑った。
「だから秘書を任せているんです。この市役所は佐川明子によって人間関係を切り裂かれてしまった。だから私はまず、所員の信頼関係の修復に力を入れてるんですよ。もともとは家族ですから。最後は家に戻り一家をみんなで支えるんです。」
マギーと華英はその言葉に胸を打たれた。
「お互い、城南市、千城を支えていきましょう。」
「はい。」
梶山とマギーと華英は手を差し出して固い握手を交わす。その中につられて手を出し握手に加わる金崎の姿は滑稽に見えたのであった。