自信とプライド-7
(佐川明子の色香に落ちたクチか…)
マギーはそう直感したが、わざわざ金崎を辱める事もないだろうと考え、敢えてそれを追求しなかった。が…、やはりこの人は黙っていられなかった。
「金崎さんて、佐川明子とヤッたんですね!?」
あまりにストレート過ぎる言葉にマギーは焦る。
「は、華英…」
そんなマギーをよそにニヤニヤしながら前のめりになる華英。
「あの女、本当に体で味方を増やしてたんだぁ。相当なヤリマンね…」
いけすかない佐川明子を貶して気分がいい様子だ。
「だ、黙りなさい!す、すみません…本当に…」
慌てて謝るマギー。金崎は更に肩を落としたが、梶山は笑った。
「ハハハ!素直な人だ。まー、みんなが腹の中で思ってる事だ。間違った事は言ってない。」
「でしょ!?みんな思ってんのよ!あんなのが市長とか、マジ無理。私はオジサマの方が市長に相応しいと思ってるわ?心の底から!」
マギーは市長をオジサマ呼ばわりする華英に頭をかかえる。
「ハハハ、ありがとう。華英さん、かな?」
「三島華英です。宜しくお願いします!」
「うん、宜しく。」
寛容な梶山は失礼極まりない華英と握手を交わす。そんな2人をよそに深く溜息をついたマギーは金崎に聞く。
「では本当にたまたま事件前に壊れて取り外しただけで、事件には全く関係ないと言う事ですか?」
金崎は顔を上げハッキリと答える。
「ハイ!本当に関係ありません!」
マギーはジッと金崎の目を見る。
「分かりました。」
信じたかどうかは分からないが、マギーはそう答えた。しかし華英の悪ふざけは止まらない。
「ハニートラップに引っかかった人の言う事、信じられるかなー??キャハッ!」
「う…」
イケメンの情けない姿を見るのは滑稽で仕方ない。もっと虐めたくなる。
「華英、いい加減にしなさい??怒るよ??」
華英は舌をペロッと出して、ハーイと答えた。
「市長は彼の言葉を信じますか?」
梶山はゆっくりと表情を引き締める。
「誰にでも過ちはあります。しかしそれを悔い改めて彼は今、必死で仕事をしてます。その姿を見て、私は信じるに値すると思ってます。彼から直々に謝罪の言葉ももらいました。もし彼が嘘をついていたなら、私は責任を取って市長を辞めてもいい。そう思える程、今の彼は真っ直ぐに前を向いてる。そう判断してますから。」
マギーは梶山の目をジッと見て、軽く微笑む。
「分かりました。」
そう言って金崎の目をジッと見つめた。