エンドレスの途中〜香澄タイム〜-6
時間の経過とともに、男たちの動きは次第に大人しくなってきた。
体力的な消耗もさることながら、精力そのものが香澄によって奪われてきているのだ。
画面からも香澄の不満が伝わってくる。
男たちはもうすでに香澄の要求に応えることができなくなってきている。
若さに任せた強引な動きにも疲れが見え始め、
男たちに無理矢理犯されているという新鮮さも薄れ始めた今、
香澄は最初の頃のような反応を示さなくなっていた。
いくら若いと言っても限界はある。
拓海をはじめとした若い男たちは、すでに限界を超えていた。
スタミナや回数だけは誇れるはずの若者たちが、
香澄の激しい愛撫や締め付けによって、その限界を超え、
彼らはただただ香澄の身体にしがみついているだけの状態になりつつあった。
(あいつら、大丈夫だろうか。)
雅和はそんな男たちの疲労を心から心配した。
さらに、香澄の欲求に応えられない男たちは、
香澄が言葉で表さずとも男としての自信を喪失し、
今後の生き方にさえ影響を当たるかもしれなかった。
「君たちは、香澄の身体を十分に楽しんだのか?」
雅和は男たちに呼びかけた。
その冷静な声は香澄の耳にも届いた。
「ああ。存分に楽しませてもらったぜ。」
「じゃあ、そろそろ香澄を帰してやってくれないか?」
「どうした?急に女房が恋しくなったか?」
「いや、そういうわけじゃない。そろそろ君たちの方が限界じゃないかと思ってね。」
「な、なんだって?あんた、調子に乗ってんのか?」
「いや、そういうわけじゃない。これでも君たちのことを心配しているのさ。」
雅和は、本音で石原や大門に訴えた。
端的に言えば、これ以上の、無理に無理を重ねるような香澄への行為は、
男としての恥の上塗りにしかならない、と言うことを、
雅和は本気で二人のボスに伝えたのだ。
「オレたちを心配しているだと?」
男たちが怒るのも無理はないと思いながら雅和は言葉を続けた。
「そうだ。見たところ、あの若い男たちは、正直もう限界だろう。
香澄にあれだけ搾り取られて、もうペニスの方はしばらくは使い物にならない。
彼らのテクニックじゃ、
リミッターの外れた香澄を満足させることは出来ないだろう。」
雅和の話を聞いているのはおそらく大門か石原だろう。
リーダー格の指示がなければ、若者たちは限界を超えて香澄に対するかもしれない。
しかし、雅和には、それは自殺行為にさえ思えたのだ。
「香澄は一度リミッターが外れると、決定的な絶頂を迎えるまで求め続けるんだ。
香澄のリミッターを外すには、
その後の香澄を止められる覚悟と自信がなければだめなのさ。」
おそらく彼らにはそれを止める力は残ってはいない。
やがて香澄をいかそうと努力することすら諦めるだろう。
そうなった時の、香澄の中に溜まっていく新たなストレスに、
雅和は恐怖を覚えた。
「あんた、オレたちを脅しているのか?」
「今更脅してどうする?それに、脅すとすればそれは君たちの方だろう。」
「確かにな。じゃあ、本当の意味での忠告っていうことか?」
「ああ。覚悟した方がいい。
次に香澄と交わる時には、香澄を失神させるつもりでかからないと、
香澄に絞りつくされるぞ。」
雅和の投げかけに、男たちからの返事は返ってこなかった。
雅和の言っていることを単なる脅しと思っているためなのか、
それとも何か裏があるのではないかと疑っているのかのどちらかだろう。
雅和はそう思った。
「君たちが今いる公園は、〇〇学校近くの〇▼公園。違うかい?」
雅和は意外なことを口にした。
大門はさすがに驚きを隠せず、雅和の言葉に反応した。
「て、てめえ、な、なんでそれを……。」
「そこまで正直に動揺を表に表すようじゃ、嘘もつけないね。君たちは。
そこまで分かっていて、ボクが何もしないということから、
ボクの答えがわかるだろ?」
「な、なんで場所がわかっているのに、助けに来ないんだ。
いや、警察に連絡することくらいできるだろ。」
レイプ犯自らが、被害者の夫が警察へ連絡しないことを不思議がるという矛盾に、
男たちは気づく冷静ささえすでに欠いているようだった。
「そんなことをして、香澄が喜ぶと思うかい?
絶頂の直前でお預けを食らう者の気持ちが君たちにはわからないのかなあ。」
「……。」
雅和の言葉の意味が男たちの理解を越えているであろうことは容易に想像できた。
おそらくみな戸惑いの表情を浮かべ、答えに窮しているのだろう。
「おい。もう、そいつと話をするのはやめろ。
とっとと香澄を失神させてずらかろう。」
雅和の忠告を無視するような言葉がスピーカーから聞こえた。
「あ、香澄のスマフォでの撮影は続けてくれ。最後まで見届けたいからな。」
「ああ。役に立たない若いもんにしっかりと撮影させるさ。
まあ、あんたは画面の中の香澄が失神して、
オレたちがこの場から連れ去るところまでをしっかりと見届けるんだな。」
最後は捨て台詞のように言い放つと、
石原はスマフォを若い連中の誰かの手に手渡したようだった。
そのあとしばらく、誰の声も聞こえないまま、時間は流れた。
画面は揺れる地面を映しているだけだった。
画面が安定した時、そこに映し出されたのは、
大門に抱き上げられた香澄の姿だった。