その夜の結末-1
香澄の表情が次第に歪んできた。
かなり大量の水が香澄の腹の中に注入されたことがわかる。
夫はそんな香澄の様子を見ながらすかさず声をかけた。
「我慢しろ。香澄。もっとたくさん、腹の中に水を貯めるんだ。
同じことを何度もしたくなかったら、限界まで水を貯めろ、香澄。」
「ああ、だって、だって、もう、出ちゃいそう、出ちゃいそうなのよ。」
「香澄。今自分がどんな格好をしているのかわかっているんだろ?
そんな水飲み台に跨って、飲み口をアナルに突っ込んだまま、
もしもお漏らしをしたら、それこそ生きていけないくらい恥ずかしいぞ。」
「あ、ああ、でも、もう、もうダメ、ダメよ。出ちゃう。」
「仕方ない。香澄。一度トイレに行かせてもらうんだ。」
夫の声に、香澄だけでなく、その場の男たち全員が反応した。
「なんだ、もう終わりか。」
「まあ、目の前でぶっ放されるよりはましか。」
「おい、和夫。香澄をトイレに連れて行ってやれ。
ただ、逃げたりしないように外で見張っていろ。」
言われた和夫が怪訝そうな顔で聞いた。
「中を覗かなくてもいいんですか?」
「なんだ、お前、ひょっとして、こいつがクソを出すところが見たいのか?」
「あ、いえ、その、別に、そういうわけじゃ…。
ただ、中で何か変なことでもしたらと思って。」
「そうか、その心配も確かにあるな。
よし、覗きたきゃ覗いていても構わないさ。
その方が香澄も羞恥心をより一層刺激されるだろうからな。
ただ、オレは遠慮しておくさ。」
香澄の後ろから香澄に尻をじっと見つめていた石原が唐突に言った。
「じゃあ、オレも和夫と一緒に覗いてくるとしようか。」
「い、石原さん。そ、そういった、趣味も、おありで……。」
「人間にとっちゃ、排せつは大事な行為だ。興味を持って当然だろ?」
「わかりました。じゃあ、撮影は一旦ここまでと言うことで…。」
和夫は水飲みの台から降りようとする香澄に手を貸し、トイレまで付いて行った。
その後ろから石原が香澄の尻を眺めつつ付いて行く。
「なんだ、和夫のやつ。あいつもそんな趣味があったんだ。」
「スカトロって言うやつですか?
さすがに、あれはオレもダメですけどね。」
「ああ。排せつ行為そのものにしか見えないからな。
あんなのを見て性的な刺激を感じるやつの気がしれないよ。」
「シッ、聞こえますよ。石原・大門コンビに。」
トイレに入った香澄は、大急ぎで便座に腰を下ろし、やっと一息ついた感じがした。
(外でレイプされるのって、こんなにも大変だったかしら……。
昔はもっと無我夢中だった気がするけど。
それに、アナルセックスは、野外には向いてないわ。
準備だけじゃない。後始末だって結構大変だもの。
シャワーだって浴びたいし…。
ああ、でも、そうだったわ。レイプよ、レイプされているんだもの。
終わった後にシャワーを浴びたいなんて思うこと自体、違うんだわ。)
香澄は何気なく顔を上げた。
石原と目が合った。
(そうだった。この男たち……。石原って言ったっけ。それと和夫。
いつの間にドアを開けたのかしら。
それともわたし、慌てていて、カギをかけ忘れたのかしら……。)
石原は便座の前にしゃがみ込み、香澄の股間を覗き込むようにしている。
トイレはいわゆる多機能トイレで、中は広い。
石原は香澄がドアを開け、中に入った瞬間にそのスライドドアに手をかけていたのだ。
香澄は慌てて便座に座り、そのまま目をつむったので、
石原たちが入って来たことに少しも気づかなかった。
2人の男が一緒に入っていても少しも狭さは感じない。
(確かにこの中ならセックスだって十分に可能だわ。
もしかしたら複数プレイだって……。
排せつ行為を見られるだけじゃなく、ここで襲われても不思議はないわ。
こういうトイレを使って不倫していた芸能人がいたけど、
いい場所に目を付けたわよね。不倫は問題だけど。
確か……。大島、とか言ったっけ。)
そう思いつつも、香澄にはまだ羞恥心が残っていた。
(じっと見られている状態で出すなんて……。
さすがに初めてだわ。
出来れば音は聞かれたくない……。)
そう思った香澄は、痛む腹に力を入れ、少しずつ排泄しようとした。
しかし、意に反して、一気に襲ってきた便意に負け、
香澄はけたたましい音と共に、一気に排便した。
「す、すげえ。」
「ああ、確かにな。
お、終わった、のか?」
ゆっくりと立ち上がった香澄を見て石原が言った。
香澄は自分の太腿辺りに飛び散った排せつ物をペーパーで拭き、
ドアを開けようとした。
しかし石原は外へ出てこない。
香澄が振り返ると、石原は大量のペーパーを手に取り、
便器の周りから床まで飛び散った排せつ物の処理を始めたのだ。
(この人……。きれい好きなの?それとも本当の変態?)
香澄は掃除に夢中の石原を残して外へ出た。
(確かにもう一度洗浄しないと、まだ汚物が残っているわ。
でも、この恥ずかしさ。もう二度と味わいたくはないわ。)
トイレの外では男たちがスマフォを片手に待ち構えていた。
「香澄。終わったか?」
「ええ。あなたが言う通り、わたし、頑張ったわ。」
夫の呼びかけに香澄は答えた。
「香澄。スッキリ、奇麗になったのか?」
「ううん。一度じゃダメみたい……。」
「そうだろうな。もう一度、水を入れた方がいい。」
「……。やっぱり、あなたも、そう思う?」
「ああ。その方が、中の方まで奇麗になる。
今のままじゃ、まだ汚れているだろう。」
香澄は黙って歩きだし、水飲み台の方へ向かった。
慌てて男たちもその後を追った。