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透明な炎
【女性向け 官能小説】

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-4


電車の中では泣くまいとして
最寄駅まで踏ん張った。

家までの数分の間に涙は流れて止まらなくなって
鍵が鍵穴に上手く入らない。

「あれ?」

泣きながら笑って

「入らないな」

口に出すけど

それでも入らなくて・・・

「なんでよぅ!」

何回やっても入らない鍵は
上手く行かない私の心のようで
その場にしゃがみ込んで声を出して泣いた。

声に出すとさらに現実味を帯びて来る私の恋心は
自覚した途端失恋で
恋を楽しむ余裕も時間もなかった。

ずっと恋なんかしてこなくて
好きな人が欲しいと思って来たけど
自覚した途端に失恋で

思い返してみたら・・・
ずっと好きだったのかも、なんて思った。

そうか。

恋してたんだ。私。

そうか。

好きな人いたんだ。私。

武藤で良かった。

私メンクイだもんね。

そうか。

武藤か。

ひとしきり玄関の外で泣いて
少し落ち着いて鍵をチャレンジしたらすんなり鍵穴に入った。

「落ちつこう」

自分の気持ちを整理しよう。

私は手を洗って顔を洗った。



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