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透明な炎
【女性向け 官能小説】

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-3


不倫、なんて言葉が頭をよぎって
そんな自分にまた嫌気がさして

手を思いきり振り払った。

「大丈夫」

何が?
大丈夫なんて微塵も思ってない癖に。
それでも自分に言い聞かせるように繋がれないように手をギュッと握りしめて

「今日はありがとう」

それだけ言うと駅の階段を駆け上がる。
発車寸前の根岸線にとび乗れば
追いかけてきた武藤はあと一歩のところで乗れなくて

私たちは視線を合わせたままお互いが見えなくなるまで見つめあっていた。

あ、ぶなかった。

流されそうになった。
好きという気持ちを自覚して
そんな自分と、惚れた相手に納得して
なんでアイツなんだろうと、ちょっぴり悔しくなった。

きっと。
たぶん。
ずっとずっと好きだった透明な思いは、昨日と今日で色づいた。
目に見える色になってしまった。

色がついて自覚して・・・
だから?
だからどうするの!

どうにもなるもんじゃない。

武藤には帰ると夕飯を作って待っている奥さんがいて
今日のランチを嬉しそうに報告する奥さんがいて
銀座にワンピースを買いに行く奥さんがいる。

私の入る余地なんかないし
入っちゃいけないんだ・・・



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