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お江戸のお色気話
【その他 官能小説】

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お江戸のお色気話・その9-1

今、お江戸の下町にある裏長屋では、
暑い夏の夜に男の部屋には幾らかの男女達が集まっていた。
そこには長老と言う物知りの男がいて、
その男の話で楽しく過ごそうということである。
中には子供を寢かしつけてきた若い夫婦者もいるようである。

今のような、あまり娯楽がないこの時代には、
庶民にとってはこういうことが何よりの楽しみでもあった。
男たちはそれぞれに家から酒やつまみ等の嗜好品を持ち寄り、
談笑しながら、ちびりちびりとやっている。

始めは下世話な世間話をしていたが、それも飽きて、
その夜は金吉という少々間が抜けた男が得意になった女の話に盛り上がっていた。
才覚のない金吉は晝間は金貸しの下で庭の掃き掃除などをして、
小遣いをもらっていたが、たまに借金の取り立てに行かされることがある。
その小遣いで酒を飲むのを楽しみの一つとしていた。

その日に主人から言われた取り立ては、
今は沒落した貧しい元武家の奧方とその娘の二人が住んでいる家である。

朽ちたその家は貧しく、ほとんどものと言うものがなく、
借金を返すについても払いようがないようだった。
それに見かねて親戚や知り合いの者たちが、
食べ物などを持ってきてくれたのでニ人で細々と生活していた。

甲斐性の無い夫はいたのだが、いつしか女ができて何処かへ逐電してしまった。
もし、その家に息子でもいれば上に申し出て討ちにいくことができたが、
女達だけにそれは出來なかった。
当時のそういう家は、沒収されて取り潰され朽ち果てるか、
女達は別の家に引き取られて妾になったり、
婢女として生きる道しかなかった。

しかし、その家の奧方と言う女がなかなかのしたたかもので、
取り立てに來る男たちには、
色目を使い借金の代わりに自分の身体で支払っていた。
言うなれば、
その方法しかなかったと言えるのが正しいのかもしれない。
それを味をしめた男たちは、取り立てもそこそこにして相手にしてもらったが、
その數は少なくない。
今になっては奧方が不倫をしたとしても、誰もそれを咎めるものはいない。
それは夫に裏切られた女としての同情と、女としての性(さが)かもしれない。



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