思いがけない出来事 2-8
「どうやら、あんまりいい方向には進んでいないみたい……。」
「そうね。和解という雰囲気じゃないし。むしろ余計ぶつかっているみたい。」
「やっぱり人数バランスが良くないのかなあ。」
「でも、男の人が何人いても同じだとは思うわ。
3人いたら3人、4人いれば4人を独占したくなるのが女だもの。」
「じゃあ、打ち解け合う可能性はないってことですか?」
「さあ。どう変化していくかわからないのが人間関係だからね。
ちょっとしたきっかけで大きく変わることだってあるもの。」
「お母様とお姉様にとってのきっかけって、なんなんでしょうね。」
地下室のモニターを見ながら香澄と美奈子はため息をついていた。
「ねえ、美奈子ちゃん。体調は?」
「はい。大丈夫です。だいぶはっきりしてきました。
これだったら……。」
「ダメよ。まだ1時間もたっていないわ。あと5時間は安静よ。」
「3時間でもいいって言ってましたから、あと2時間、で……。」
「ダメ。美奈子ちゃんにこれ以上何かあったら、
さすがの征爾さんも普通じゃいられないと思うもの。
お父様は、わたしに任せて戻られ……。」
「ほら、やっぱりお父様はここに来たんじゃないですか。」
「だって……。そりゃあ心配になるでしょ。
和室でのあなたの様子を見ていた征爾さんの気持ち、考えてみて。」
「……。確かに。わたしも少し無理し過ぎました。」
「でしょ?気が気ではなかったはずよ。
他人のわたしだって、心臓が止まるかと思ったくらいだもの。」
「でも、そんなときでもお母様は……。」
「そうね。疑問に思うわよね。
だとすれば、やっぱり最後まですっきりと解決したいわよね、お母様のこと。」
二人はまた食い入るようにモニターに集中した。
「お母様。だったらわたし、これを付けようかしら。」
「えっ?ペニスバンド?」
「ええ。大輔君のペニスが見違えるように太くなったのも味わえたし、
二穴も串刺しもしっかり決めてもらって、結構満足しているの。
あとは、田辺さんと礼二さん、大輔さん。それにわたし。
4人でお母様を可愛がって差し上げようかしら。
さっき香澄さんを相手にしている時に気づいたの。
わたしって、結構Sの気が強いんだって。
それに、今はなんだか思いっ切りお母様を虐めて差し上げたい心境なの。
ねえ、田辺さん、礼二さん。大輔さん。
それでもいい?」
「オレたちは別に構わないさ。」
すぐさま答えた田辺に、珍しく礼二が反論した。
「田辺さん。こいつらの言いなりになるなんておかしくないですか?
オレたちはこいつらをレイプしに来てるんですぜ?
なんで、その相手と仲良くこの女を責めなきゃいけないんですか。」
大輔も珍しく田辺に反抗した。
「オレもそう思います。オレたちはレイプ犯なんですから。」
田辺は大輔を睨むように言った。
「大輔。そういうお前も、ついさっきまでは、
美奈子とずいぶん仲良くやっていたようだったが。
美奈子を殺しちまったら、もう関係ないか?」
(美奈子を殺しちまった……。そ、そうだった。オレは……。)
大輔は下を向いたまま黙り込んだ。
(そうだったわ。美奈子は、こいつらに殺されたのよ。
そんな相手に、わたしたちはいつまでも弄ばれ続けているのかしら。
いつかすきを見て……。せめて美奈子の仇を……。)
紗理奈は和室の方を見ながら拳を握りしめた。
(ああ、美奈子。まさか、まさかこんなことになるなんて……。
せめて、せめて紗理奈だけでもこの場から逃げて欲しい……。
そのためだったら、どんなことでも……。)
麗子は落ち込もうとする自分の気持ちを奮い立たせ、
重苦しくなった空気を換えるように明るい声で言った。
「わ、わたしは、気持よくなれればなんだっていいのよ。
レイプされても感じちゃうくらいの変態女なんですもの。
でも、あのペニスバンドをして紗理奈が加わってくれたら、
それこそわたしの望むところだわ。
だって、田辺さんや礼二さん、大輔さんには悪いけど、
この人たち、そろそろ限界みたいだし。
わたし、途中で投げ出されて欲求不満になるのも嫌だから。」
「おい、麗子。お前、調子に乗るなよ。」
「そうだ。誰が限界だって?オレたち3人じゃ不満だって言うのか?」
礼二と大輔が息巻いた。
「だってそうじゃない。
大輔君。さっきよりもずいぶん萎んできたんじゃない?」
確かに大輔のペニスは和室から出てきた後、少しずつ少しずつ、萎み始めていた。
異常なほどの興奮と例の薬の効き目が少しずつ醒めてきた証拠だった。
「ほらね?それに礼二さんだって、そろそろ限界でしょ?
紗理奈相手にずいぶん搾り取られたみたいだもの。
若い娘相手ならまだ何とかなるだろうけど、
わたしみたいに熟練した女の相手はそろそろ無理だわ。」
麗子は挑発的な言葉で次々と男たちを馬鹿にした。
「こ、こいつ、黙って聞いていれば調子に乗りやがって……。」
「田辺さん。こいつ、3人でやっちまいましょう。」
「まあ、そういうことになるかな。」
田辺は何かを含んだように麗子を見てそう言うと、礼二に声をかけた。
「おい、礼二。ちょっと来い。」
田辺は礼二を呼び寄せ、耳元で何かつぶやいた。
礼二は田辺の言葉に一瞬驚いたように顔を上げ、和室の方を見た。
田辺はさらにその耳元で何やら囁き続ける。
礼二の顔に緊張感が漂い始めた。
「いいな、わかったな?」
「はい。では、美奈子を縛ってある縄をほどいて、こっちに持ってきます。」
その言葉に地下室でモニターを見ていた香澄は慌てた。
「まずいわ。ねえ、礼二が和室に来たら、わたしたちがいないのに気づいちゃう。」