思いがけない出来事 2-7
「そういうことだったのね。で、なんで今日、だったの?」
「あ、それは田辺さんたちのご都合で。」
「じゃあ、わたしがこちらに伺ったのは?」
「本当の想定外です。
ただ、真奈美ちゃんのお祝いのことは、お父様は前からずっと言っていました。
真奈美ちゃんと、真奈美ちゃんのお父様が結ばれたら、すぐにお祝いに行くって。
でもまさかそれが重なるなんて……。」
「そっか。だから紗理奈さんも麗子さんも、
そして田辺さんたちも知らなかったって言うわけね。」
「ええ。ただお父様は、
自分たちがいない時の方が田辺さんたちもやりやすいかもしれないって。
娘や妻がレイプされるのを黙って見ている夫がいるはずはないし、
と言って、敏明もいるわけだから、男たちを相手にやり合わなきゃいけないわけで。
むしろいいタイミングだったかもしれないよって。」
「そうなんだ。だから、わたしにもサプライズがあるようなことを言っていたのね。」
「香澄さんにも?」
「ええ。わたしの欲求不満も解消してくださるって。」
「あ、それがレイプってことだったのかしら。」
「そうね。自然な流れで、
わたしも田辺さんたちにレイプされるだろうって思っていたんじゃないかしら。
それなら確かに、かなりのインパクトがあるサプライズだわ。」
「でも、香澄さん、まだ……。」
「そうなの。わたしをレイプしたのは紗理奈さん。田辺さんたちは……。
まあ、ソフトタッチの愛撫やら下着姿で辱められたくらいかしら。」
「じゃあ、余計欲求不満になっちゃいません?」
「そう。それなのに、今は美奈子ちゃんの看病なの。」
「あ、やっぱり……。参加したかったですよね。」
「いいの。割り切ったわ。それよりも麗子たち、お母様と紗理奈さんの様子、
見届けなきゃね。」
「あ、そうでした。そのためにこの部屋に来たんでした。
あ、ちなみに、和室はどんなアングルだったんだろう。」
美奈子はセレクトスイッチをさっきまでいたこの家の和室に切り替えた。
モニターに映る映像は3つ。
リビングには3台のカメラが仕掛けられているということだ。
「えっ?3台も?しかもこのアングルだと……。」
天井の端から部屋全体を俯瞰した映像が1つ。
壁の下の方から上に向けて、そして部屋の中央に向けた、
3つのアングルの映像がモニターに映し出された。
操作パネルにはジョブスティックとズームのためのレバーまで備えられている。
それだけではなかった。
「ねえ、このスイッチって、リモート操作っていうことよね?」
「ええ。この部屋以外の離れたところからでも、
遠隔操作ができるっていうことですね。例えばスマフォとかからでも……。」
「さすが美奈子だ。よくそこまで分かったね。」
モニターの一つに征爾の顔が映し出された。
「美奈子の思った通りさ。わたしのスマフォからカメラの操作ができる。
もちろん、我が家のどの部屋の映像も、同じように見られるっていうことだ。」
「じゃあ、やっぱり、お父様が来てくださったんですね?」
「さて、なんのことかな?それよりも、お母さんと紗理奈の様子、
お互いにしっかり見届けよう。」
「はい。」
「あ、あの……。」
「あ、香澄さん。黙っていて申し訳ない。
我が家のトラブルに巻き込んでしまったようで。
こんな形になるとはさすがに想定外の部分もあって……。」
「田辺さんたちがわたしには予想以上に紳士的だったということですか?」
「ええ。それなりに話はしてあったのですが。この埋め合わせは必ず。」
「いえ。大丈夫です。あ、真奈美のこと、よろしくお願いします。
あまりわがままを言うようでしたら、叱ってやってください。」
「任せてください。真奈美ちゃんの将来も考えてのプログラムです。」
「そうですか。よろしくお願いします。
わたしも、麗子さんと紗理奈さんの和解のために、
少しでもお役に立てればと思っていますので。」
征爾の姿が消える直前、征爾の後方に、敏明に跨って腰を振る真奈美の姿が見えた。
「征爾さん、家に着いたんだわ。
じゃあ、こっちはこっちでしっかり見届けましょ。」
香澄の言葉に美奈子は頷き、カメラのセレクトスイッチをリビングに切り替えた。
「お、お母様。また、また、いってしまったの?」
「ああ、紗理奈。だって、だって、田辺さんの、突き方が、絶妙で……。」
「そんなこと言ってるけれど、本当はまだ物足りないんでしょ?」
「あ。だって、紗理奈が……。」
「なあに?わたしがいるから3人を独占できないとでも言いたいわけ?」
「そ、いくらなんでも、そこまでは思わないわよ。
紗理奈だって、礼二さんがお気に入りみたいだし。」
「あら、お母様は田辺さんにぞっこんなんでしょ?」
「お前にだってわかるでしょ?田辺さんのテクニック。
これほど女のウィークポイントを的確についてくる男は、そうはいないわよ。」
「お父様よりも?」
「お父様は比べる対象じゃないの。
わたしにとって絶対的な存在なんだから。」
「裏切りにはならないわけ?」
「ええ。それはお父様も認めてくださっていることよ。
還元できるからいいんですって。」
「還元できる?」
「ええ。わたしが他の男から、お父様とは違う刺激を受けることで、
精神的にも肉体的にも、なんとか、っていうホルモンが活性化されるんですって。」
「お父様がそうおっしゃったの?」
「ええ。それが若さや魅力、性欲を保つことにつながるって。
だから、他の男たちからの刺激はどんどん受けた方がいいって。」
「じゃあさっき大輔さんのを飲んだのも、そういうことが理由だっていうの?」
「もちろんそれもあるわ。でも大輔さんのペニスの変わりようを見たら、
誰だって試してみたいと思うじゃない。」