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香澄の本性
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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思いがけない出来事 2-4

「誰が、(このストーリーを)計画したの?」
「わたし。それと、お父様。」
「そっか。そんなに(紗理奈さんとお母様のこと)心配だった?」
「うん。」
「わかったの?(二人の)気持ち。」
「まだよくわからない、かな。」
「美奈子ちゃんが?」
「お姉さまも、だと思う。」
「そっか。」

しばらく沈黙が続いた後、美奈子が香澄の顔を覗き込むようにして言った。
「ねえ。」
「ん?」
「香澄さんは、(このレイプがフェイクだって)なんでわかったの?」
「美奈子ちゃんの目、かな。」
「わたしの目?」
「うん。」
「目で、わかったの?」
「う〜ん。なんとなく。最中に、誰を見てたか、何を気にしてたか。
 そんなとこかな。」
「それだけで?」
「あとは……。田辺さん。」
「田辺さん?」
「うん。田辺さんの、やっぱり目。それから言葉。雰囲気。」
「ふ〜ん。」
「とにかく不思議なことばかりだったもの。レイプ犯らしからぬ言動。」
「そっか。じゃあ、レイプじゃないってわかってたんだ。」
「本物のレイプはあんなもんじゃないもの。
 もっと血なまぐさいというか、殺気立っているわ。」
「そっか。やっぱり演技と本物は違うのか。」
「でも、麗子も、紗理奈さんも、知らなかったんでしょ?」
「うん。今でもね。」
「うん。気づいていないと思うよ。麗子は。」
「えっ?お姉様は気づいてる?」
「変だなとは思ってる、と思うわ。彼女も勘がいいから。」

「じゃあ、しっかりと本当だって信じてもらって、
 二人が本音を伝え合うまで、わたしは意識不明のままでいなきゃダメってことね。」

しばらく沈黙が続いた。
美奈子は正直、香澄に何と言ったら納得してもらえるかわからなかったのだ。
「ただ、香澄さんが、本当のことを今二人に伝えるって言うのなら、
 それはそれで仕方ないかなとも思うんだ。」

「でも、ちゃんと解決して、スッキリしたいんでしょ?」
香澄が笑顔を浮かべながら美奈子を見た。

「そりゃあもちろんよ。でも、香澄さんをこれ以上……。」
美奈子は香澄から視線を外した。

「いいわ。わたしも乗ってあげる。ううん。協力させてもらうわ。
 麗子と紗理奈さんがすれ違ったままじゃ、わたしも悲しいもの。」
「でも、それだと、この部屋にずっといなくちゃいけなくなるよ。」
「そうね。それはそれで、辛いかな。」
「わたしが相手してあげようか?」
「美奈子ちゃんはまだ意識不明の重体でしょ?
 それに、実際、6時間は安静だって、おと……。
 田辺さんも言ってたでしょ。」

「え〜?でも、あの声を聞きながら6時間も安静?
 ああ、だったら一層のこと、意識、戻らない方がよかったな。」
「わたしは動けるのに動かないんだから。」
「そっか。そうだよね。ねえ、香澄さん。」
「なあに?」
「気が変になったりしないでね。」
「もし、そうなりそうだったら、
 わたしも、意識不明の美奈子ちゃんをここに残したまま、
 あっちで楽しんでくるわ。そうなったら、ごめんね。」

「我慢するのって、辛いよね。」
「一度、よさを知っちゃうとね。」
「自分でも、これほどまでとは思わなかったけどね。」
「あ、そっか。で、どうだったの?
 命がけのギリギリ。もう二度としたくない感じ?」
「直ぐには、ね。もう少し安全な方法があればいいのにね。」
「でも、命がけだから、異常なほどに感じるっていうのもあるかもね。」
「香澄さんは、あるの?命がけの経験って。」

「際どいのはあったわよ。夜の公園でレイプされた時。
 こっちはやらせる気満々なのに、脅しが脅しじゃなくなるやつもいたからね。
 本気で殴ってくるやつもいたし、ナイフで切りつけてくるやつもいたわ。」
「そっか。だからフェイクだってわかったんだ。」

話が盛り上がりそうになるのを香澄が止めた。
「とにかく、リビングの様子も気になるもの。
 ねえ、これって、本当はどこからか見えるんでしょ?」
「どこからかって?」
「つまり、監視カメラとか撮影用のカメラとか、付いていないのっていうこと。」
「あ、地下室みたいに?」
「ええ。だって征爾さんが、つまりあなたのお父様が、
 あれだけの設備を地下室に作るってことは、
 家族みんなのセックスに興味があるっていうことでしょ?
 そしてそれを共有したいって考えてらっしゃる。」
「へえ。香澄さん、そこまで見通してるんだ。」
「そんな大袈裟なものじゃないわ。ちょっとした推理よ。
 もちろん、地下室は特別な日だったり特別な相手だったり。
 そういう時のための、言ってみれば記念のためのカメラよね。
 でも、特別な日よりも、はるかに普通の、日常的な生活の中で、
 わたしたちは自分らしさを発揮するわ。
 だとしたら、やっぱり日常生活にだって興味があるんじゃない?
 普通の中にあるその人らしさみたいなものも記録したいと思うんじゃないかしら。
 そう考えたら、リビングには真っ先にカメラをセットすべきだと思うの。
 ねえ、美奈子さん。心当たり、ない?」

「……。そっか。えっ?だったら、お父様は、
 今日、リビングで何があったのかも、みんな見ていたっていうこと?」
「ええ。わたしの予想ではね。
 それにリビングだけじゃないわ。
 この和室の様子だって、あなたのお父様なら……。」

香澄はそう言いながら、半ばそのことを確信していた。
(それでなきゃあんなタイミングよく現れたりすることなんかできないはずだもの。 
 この部屋にも、そしてきっとリビングにも、カメラがセットされているはず。
 そして何らかの方法で、征爾さんはこの家の様子を見ていたに違いない……。
 今の時代、映像をリモートで見ることくらい簡単なことだもの。)


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