アヤノ-1
『お願い……あっ、くっ、痛っ…許して…』
彼は容赦無く私を貫き、己の快感のみを求めて腰を前後させている。
『シュ…修、お願い、いたっ、いやぁっ!やめて!!』
悲鳴をあげているのは私の声だけではない。修による挿入前の愛撫は無く、潤いなど全く帯ていなかった私の秘部もまた悲鳴をあげていた。
本来ならば、彼の注挿によって与えられるはずの快感はあるはずも無く、私の秘部はただただ痛みを全身へと伝える苦痛の受け口となっていた。
その苦痛は次第に形を成し、私の花弁からはうっすらと血が滲み、それがシーツに赤い染みを浮かばせた。
『修、どうしちゃったの??……おかしいよ、こんな修……修じゃ…ない。』
私の瞳からは涙が溢れていた。私はその涙を彼から隠すように必死に涙を腕で拭った。
今私が涙をさらせば、きっと彼の加虐心を煽るだけだろう。
「うるせぇ、黙ってろ…。」
彼が荒い呼吸の合間に口を開いた。
抑揚のない冷たい口調だった。
そしてその口から溢れた言葉は余りにも残虐で、更に私を追い詰めていく。
「余計な事をしなければよかったんだ…。ご託並べてねえでおとなしくつっこまれてろ…。」
まるで別人だった…。
普段の彼は、絶対にこんな言葉を口にする人ではなかった。
私はひたすらに耐え続けた。
この行為が少しでも早く終わる事を、彼が普段の優しい彼に戻ってくれる事を願って……。
だが私のそんな願いをよそに、彼の拷問にも思える注挿は続いた。
朦朧とした意識の中、私は秘部が次第に潤いを帯てくるのを感じた。
それはこの悲しみから逃れたいがため、私自身が生み出した幻の感覚なのかも知れないが、にわかに秘部の痛みが和らいだ気がする。
しかし体の痛みは薄れても、心の痛みは益々強くなる。
その痛みはやがて、彼への恐怖へと変わる。
抵抗する気も薄れ、私は彼から顔を背けるように首を回し、ただぼぉっと宙を仰いだ。
彼は私の事を気にかけるそぶりすら見せずに、私を突き上げ続けている。
―何故こんな事になってしまったのだろう―
今まで、彼にこんな仕打を受けた事は1度としてない。
普段の彼は、誰よりも私に優しくしてく接してくれる。少しやんちゃであぶなっかしい一面もある彼だが、私はそんな彼が大好きだった。
彼と出会ってもうすぐ6ヶ月、私は彼が今までひた隠しにしてきた秘密を知ってしまった。
その日、私は彼の暮らす部屋で友達の所へと出かけた彼の帰りを待っていた。
特に頼まれた訳ではなかったが、夜には帰ると言った彼の為に、私はキッチンに立ち、2人で囲む夕食の支度をしていた。
そして調味料を取ろうと冷蔵庫を開けると、私はその奥に見覚えの無いインスタントコーヒーか何かの瓶を見つけた。
―何だろう??―
修はコーヒーが好きな様でよく口にしていたが、それは必ず缶コーヒーかドリップコーヒーで、彼がインスタントコーヒーを口にする所は見たことがなかった。
不思議に思いその瓶を手に取ると、中には小さな袋にわけられた何種類もの錠剤と、液体の入れられた小瓶、医療用注射器が数本、そして半透明のフィルムケースの様な物に入れられた黒い粒状の物がいくつも入っていた。
私にはその中身が何を意味するのかが瞬時にわかった。