入寮の儀式-2
ようやく次の場所への移動が許された優子は急いで食堂の建物に向かった。
食堂で日常品が支給さされるとのこと。
食堂の入り口に白色の体操着に紺色のハーフパンツを身に着けた女の子が仁王立ちでこちらを睨みつけている。この紺色のハーフパンツを身に着けた子はどうやらこの大学の二年生らしい。
二年生ということは19歳。優子よりちょうど10歳年下である。10歳差というと、中学校を卒業し高校に入学した年にわずか5歳。生えるところに毛も生揃い、女性らしさも芽生えるころにまだ小学校にも入学していない子供である。
それだけ年の離れた子に睨みつけられている。
鋭い視線から逃れたい一心で、急いで食堂の入り口に向かった優子だが、その手前で、呼び止められた。
『ちょっと、あんた、化粧してない?』優子は化粧してきた自分に後悔したが、直接目を合わせることもできず、黙ってうなずき下を見つめた。
本当に仲の良い友達からも『あんた』なんて呼ばれたことは記憶にない。まして、10歳近く年下の子から『あんた』と呼ばれるなど考えられなかったがここは受け入れるしかないと自分に言い聞かせた。
『あんた!いつまで下を向いてるの』『そこの水道で早く顔を洗いなさい!』と命令口調で指示され、その先輩はすかさず蛇口をひねった。蛇口の下におかれた洗面器に水がたまる音がした。さらに先輩は『そこに石鹸があるから』
そこには、小さく少し黒ずんだ四角の石鹸が置かれていた、さすがに30歳近くの女性がこんな石鹸で顔を洗ったことがない。
優子が手にしているスーツケースには洗顔せっけんが入っている。それを取り出そうかとと迷っていると、すかさず、『何をぐずぐずしている?早く洗いなさい!』と怒鳴られた。
優子が蛇口に手を伸ばした矢先に後頭部を強く押し付けられた。優子の顔は、
蛇口の下の水がたまり始めた洗面器に押し付けられた。
優子は恐怖を感じ声も出なかった。時間にして10秒程度であるが、このまま、殺されると感じ、水の中で涙があふれた。
ようやく、手が離され、顔を上げたが、顔からしたたる水滴とあふれ出す涙が頬を伝い
優子のブラウスにしみ落ちた。
さらに『早くしなさい』と急がされた。優子は無心で石鹸を手に取り、素早く泡立たせ、ごしごし顔を洗った。小さなハンカチで顔の水滴をふき取り、先輩の方を向くと、
先輩は黙って食堂の方を指さした。
この場を逃れた安堵から優子は急いで食堂の中へ歩みを進めた。
その時、優子は思わず『あっ』と声を出した。
一番手前の机には大きなポリ袋が何枚も置かれ、その机の向こう側にジャージを着こなした女の子が座っている。おそらく、先ほどの2年生より先輩であることは予想できた。驚いたのはその机の前で新入生らしい女の子が全裸で直立している。
優子から顔を見ることはできないが、引き締まったウエストに指先までまっすぐに伸ばした手がぴったりと腰にくっついている。またツンととんがったお尻に筋肉で引き締まった脹脛は鍛え上げられた若い女の子の躍動感を感じることができた。しかしその後ろ姿はわずかに震えているのが離れた優子にも感じ取れた。
優子がその光景にためらっていると、後ろから、『気を付け!』と怒鳴れらた。
優子は思わず背筋を張って気を付けの姿勢をとったが、『指先をまっすぐ伸ばせ!』と更に大声で怒鳴られ、恐怖で振り返ることもできず、指先をピンと伸ばし、体に力をいれて気を付けの姿勢を維持した。
さらに、『次によばれるまでその姿勢を維持してなさい』と怒鳴られた。
それと同時にその声の主が離れていくのを察知できた。後ろには人の気配は感じなくなったが、優子は直立不動で微動だもせず、
約10m先で全裸で直立不動の姿をさらしている女の子のお尻を見つめ続けた。