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下屋敷、魔羅の競り合い
【歴史物 官能小説】

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艶之進、唸る肉刀-4

 第三戦で連続絶頂に陥ってから少し時が経っていはいるが、女陰の火照りは生々しく残っており、凜は艶之進の腰振りが始まると、たちまち淫靡な快感が湧き上がり、無意識に秘肉で魔羅をきつく抱きしめるのだった。

「んはあーーーーー、気持ちいいっ!」

 満が悦ぶ。

「んあああーーーー、これっ、これようーーー!」

 凜が悶える。
 腰元の手淫により男を射精に至らしめるという当初の定めからは逸脱し、もはや普通の交接となった決勝戦。用人は女の中で男が果ててしまっては台無しだとばかり、

「おぬしら、分かっておろうな? 中で漏らすでないぞ。逝く時は魔羅を抜くのじゃぞ。そうでなければ精液の飛びを計れぬからの」

 艶之進と小夜之丞に近づいて、くどくどと言って回る。
 小夜之丞は分かった分かったと笑顔で答え、後ろ取り(後背位)で満と交わり続ける。艶之進に比べて射精の回数が少ない彼には余裕が感じられる。介添えが満だからというわけではないが、きっと満を持した精液の飛び方を見せるに違いなかった。
 劣勢の艶之進は焦っていたが、ここで今一度、弓術の極意を思い出そうと目を閉じた。

『弓手と妻手の呼吸、言い換えるなら和合。凜どのの高まりを女陰伝いに魔羅で感知し、自らの高まりと融合させる……』艶之進は頭を横に振った。『いやいや、そんな高尚なことではない。早い話が女を逝かせ、女陰をキリリと絞らせて、その快感で吐精すればよいのじゃ。ふむ、単純明快な話じゃ』

 開き直った艶之進は、凜の桃尻を両手でつかむと魔羅の突き入れに本腰を入れた。

「ああんっ、いやっ、いやっ、……だめっ、だめっ、だめぇーーーー」

 凜が激しく反応する。度重なる交情で逝きやすくなっている彼女は須臾にして(短い時間で)絶頂に至った。間欠的に膣肉が魔羅を食い締める。艶之進は発射しそうになるが、まだこらえたほうがよいと判断し、いったん腰の振りを止め、気を鎮める。
 隣で交情している小夜之丞もまた同じ考えらしく、大きな尻をひくつかせて絶頂する満に密やかな笑みを注ぎ、射精を見送っているようだった。

 双方とも女を甘く悶絶させながら絶妙な腰づかいを見せていたが、凜が四度目の極楽往生を迎え、満が三度目の涅槃入滅をした時、艶之進と小夜之丞は、ほぼ同時に女陰から魔羅を引き抜き、女の背中越しに、
 ひょうっ、と弓の練達が矢を射るごとく(艶之進)
 ぷっ、と酢漿草(かたばみ)が種を吹き出すごとく(小夜之丞)
 それぞれが精液を飛ばした。どちらもかなりの飛距離である。
 すかさず若侍が白い糸を持って駆けつけ、計測に取りかかる。艶之進は弛緩して突っ伏した凜の後ろからその様子を眺める。小夜之丞も横転した満のわきから事の次第を見守っていた。
 距離に応じて切られた糸は物差しで測られ、しばらくして若侍から用人へと結果が告げられた。
 用人がおもむろに咳払いをしてから発表した。

「艶之進、三尺九寸(約120p)。小夜之丞、三尺八寸八分(約118p)!」

 結果を聞いて、艶之進は息が詰まった。僅差である。用人の声が続く。

「よって、勝者、坂本艶之進!」

 名を耳にして、艶之進は深々と息を吐いた。際どいところで勝ちを得たことを確証し、握りこぶしをこしらえた。見ると、足下の凜が汗ばんだ顔をひねって艶之進を見上げ、賞賛の眼差しを送っていた。
 と、突然、激しい嗚咽が生じた。誰のものかと思えば満が起き上がって激しく泣いているのであった。

「うわ〜〜〜ん、悔しい! 負けちゃった〜〜〜」

 泣きじゃくる満。その丸い肩に手を添え、盛んになだめている小夜之丞の顔には悔しさなど微塵も見えず、菩薩のような笑みが浮かんでいた。

「五十両は後日、為手(為替手形)で支払う。それを両替商にて換金するがよい」

 用人の言葉で五十両獲得が現実のものとなった。
 かくて、艶之進は見事に勝ち抜き、大金を手にすることになったのだが、これで事が済んだわけではなかった。綾乃との交情が待っていたのだ。この魔羅くらべの冒頭、彼女は言った。

『決勝で勝ちを得た者には金五十両を与えるが、その他に、わらわと交合する栄誉が与えられる。逝き狂いするほどわらわを昇天させ屈服させたあかつきには、松平家の奥向きの閨房指南役に取り立ててしんぜようぞ。さすれば高禄はもちろんのこと、腰元すべてを抱き放題じゃ』

 閨房指南役に取り立てるという言葉を艶之進はにわかには信じていなかった。おそらく綾乃専属の従僕となり、毎夜、性の奉仕をさせられるに違いなかった。高禄は得られようが、腎虚(過度の交接による身体のはなはだしい衰弱)になって早死にするおそれが大いにあった。
 しかし、ここで綾乃との同衾を断れば、五十両の約束は反故にされる。
 艶之進は考えた。

『このまま綾乃と床を共にしたとて、疲労困憊の我が身は勃起がままならぬだろう。万が一立ったとして、挿入しても中折れしてしまうに違いない。だが、それだと一応、交情するという義理は立つし……』

 すると、綾乃の声が響いた。

「勝者の艶之進。おぬし、本日はほとほと疲れたであろう。今宵は当家で一泊せよ。身体を休めよ。しかるのち、明晩、わらわの寝所へ参れ。そして、江戸一番の床師(性の達人)ぶりを披露いたすのじゃ。分かったな?!」

 なまめかしいが、有無を言わせぬ声音で告げられ、艶之進は恐縮して「かしこまってござります」と返答するしかなかった。

 魔羅くらべが終わり、参加者の中で一人残った艶之進は、湯殿へ案内されて疲れを癒やし、奥書院の隣の小部屋で豪華な夕餉の饗応を受け、三つ重ねの布団に身を沈めて眠りについた。
 そして翌日、またも豪華な朝餉、昼餉を供され、その他に漢方の人参牛黄湯を飲まされ、按摩に身体をほぐされ、針師に鍼灸を施された。すべては夜のお勤めのためであった。


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