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アイドリング2ndシーズン
【フェチ/マニア 官能小説】

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アイドリング2ndシーズン-5

チャプター5



 レンタルショップという場所は、じつにさまざまなジャンルの映像作品を扱っている。洋画、邦画、韓流、さらに細かく分類すると、アニメ、ホラー、アクション、コメディ、サスペンス、SFなどなど数え上げればきりがない。

 友里は返却済みのDVDを棚に戻すために店内を歩いていた。途中、男性客二人のやり取りが耳に入ってきた。

「なあ、『歪な氷雪』だってよ。おまえ、この映画知ってる?」

「いや、知らねえな。原作者は誰だ?」

「ええと、雨、水、蛙だってよ。何て読むのかわかんねえけど、ふざけた名前だよな、まったく」

「こっちの『アイドリング』ってのも同じ原作者みたいだぜ。こんなの誰が借りるんだよ」

 そんな会話を背中に聞きながら友里が向かった先は、十八歳未満立入禁止のアダルトコーナーだ。目隠しの黒いカーテンの前で立ち止まり、さっと周囲をうかがう。大丈夫、誰にも見られていないようだ。

 友里は生唾を飲み込んだ。そうしてアダルトDVDを大事そうに胸に抱いたまま、黒いカーテンの向こうに広がる危険区域へ音も立てずに忍び込む。

「あっ……」

 友里の表情が凍結する。いきなり目に飛び込んできたのは、首輪と手錠を嵌められて後ろから犯されている女の子だった。

 となりのメイド服を着た女の子はM字開脚で挑発のポーズを取ったり、モザイクのかかった男性器を頬張ったりしている。唇から白い液体が垂れていた。

 そこは『新作』のコーナーだった。出演している女の子の顔はどれも可愛いし、中には友里よりも年下だと思われる女の子もいる。

 そんなふうに友里が真っ赤な顔で戸惑っていると、どこからか視線を感じた。

 はっとして右を向くと、アダルトDVDがぎっしり並んだ棚の向こうに黒い人影が消えるのが見えた。そこからぐるりと首を回すと、反対側にも人影が。

 何だかゾンビに監視されてるみたいで怖いな、と友里は眉をひそめる。どうしてこんな仕事を引き受けてしまったのか、つくづく後悔した友里は重たい足取りでアダルトコーナーの奥へと進んでいく。

 するとそこにも男性客がいた。

「あっ、いらっしゃいませ」

 友里は努めて明るく振る舞った。男性客は棚のほうを向いたまま体を硬直させている。まさか、まさかこんなところに女子スタッフが来るなんて、生まれて初めての経験だったのだろう。

「何か、お探しですか?」

 友里が積極的に話しかけると、男性客は友里の整った顔とミニスカートから伸びる脚をちらりと見たが、それだけで満足したのか、黙って立ち去ってしまった。

 女の子としゃべるのが苦手なタイプなのかな、などと分析しながら『マニアック』と『部分フェチ』と書かれた棚に近づくと、さっきとは別の男性客と鉢合わせした。

「いらっしゃいませ。何か、お探しですか?」

 接客には手を抜かない友里は、微妙な距離を保ちつつ男性客にたずねた。

「あ、えっと……」

 面喰らった様子の男性客は言うべき言葉を探してたが、やがて友里の眼差しにギブアップし、苦し紛れにこう言った。

「オススメってありますか?」


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