思いがけない待ち伏せ-2
そんな会話が大っぴらに、時には密やかに交わされ、
香澄たちは鈴木家をあとにした。
そしてそれから間もなくして、ようやく真奈美が夫と一夜を共にしたのだった。
そのことを征爾に伝えると、征爾は敏明たちと我が家に来るという。
そして香澄にはそれと入れ替わりに鈴木家を訪れるように言ってきたのだった。
それなりの準備をして、という征爾の言葉の意味を考えながら、
さんざん考えた挙句、香澄は自分なりの準備として、ある下着を選んだ。
香澄がようやく着替え終えたころ、家のインターフォンが鳴った。
征爾たちだった。
「いらっしゃいませ。」
「ああ、香澄さん。すみません。予定よりも早く伺ってしまいました。」
「いえ。こちらこそ。片付けやら準備やらに手間取って、まだ出発できません。
麗子さんたちをお待たせしてしまうわ。」
「いやいや、気にしないでください。麗子も結構バタバタしていましたから。
で、準備は出来ましたか?」
「ええ。ふさわしいものになったかどうかはわかりませんが、
自分なりに考えてみました。」
「大丈夫。香澄さんらしければそれが一番です。あ、もう行かれますね。」
「はい。では、遅くなりましたが、今からお宅の方へお邪魔させていただきます。」
香澄は征爾に熱い視線を送りながらも、振りきって、真奈美に言った。
「じゃあ、真奈美ちゃん。お願いね。」
「うん。お母さんもゆっくり楽しんできてね。」
「そうね。どうなるかわからないけれど。
じゃあ、あなた。お願いしますね。」
「ああ。こっちのことは心配ない。麗子さんたちによろしくな。」
香澄は真奈美たちに見送られて家を出た。
鈴木への道のり、香澄は歩きながら自分がしてきた準備のことをずっと考えていた。
征爾は、それなりの準備、と言っただけで、何をどうしろと指定してきた訳ではない。
さっき出がけに交わした言葉からは、
征爾が何を期待しているのかは全くわからなかった。
いや、それにもう家を出てきてしまったのだ。
今さらどうこうできるものでもない。
(まあ、あれこれ考えても仕方ないわ。これで家を出てしまったんだから。)
よく考えてみれば香澄が訪れる鈴木家に何が準備されているのかもわからない。
期待し過ぎでがっかりすることがないよう、香澄は自分を戒めた。
訪ねて行って今日香澄を迎えるのが麗子たちだけと知ってがっかりしては、
麗子たちにも申し訳ない。
新たな男性が待ち受けていたのなら、
それは運のいいサプライズとして喜べばいい。
いや、例え男性がいないとしても、麗子と潤一と過ごしたあの時以来のプレイだ。
そうだ、麗子とのレズプレイ。
この前、わたしがどういう状況まで追い込まれたかを麗子は知っている。
母娘たちで香澄をそれ以上のところまで追い込んでくるれるかもしれない。
前回の双頭バイブだってかなりのものだった。
そうか、あれ以上のものがわたしを待っているのかもしれない。
そうだ。そうだった。香澄を喜ばせてくれるのは人ばかりではなかったのだ。
新しい道具が香澄を待ち受けているのかもしれない。
そう考えると、香澄の足取りは自然と軽くなった。
(そうよ。そうに違いない。もっと刺激的な道具がわたしを待っているんだわ。)
時々小走りになりながら、香澄はようやく鈴木家の玄関前に立った。
額に溢れてきた汗をぬぐいながらインターホンを押す。
中からの返事はなかなかなかった。
少しの間をおいて、再びインターホンを鳴らす。やはり返事がない。
(おかしいな。どこかに出かけているなんてことはないし。
あ、もしかしたらわたしの来るのが遅いから、
もう3人で始めているのかもしれない。
だとしたら、例の地下室かしら。
それでなかなかインターホンの音が聞こえない?)
仕方なしに香澄はスマフォを取り出し、麗子のナンバーをコールした。
発信音の後、呼び出し音が続く。
麗子はなかなか出ない。
香澄が改めてかけ直ししようとした時、麗子の声が聞こえた。
「あ、香澄。ごめんなさい。今、紗理奈を玄関に行かせるわ。」
電話はそれだけで切れた。
普通なら、待っていたわ、遅かったのね。あるいは、今日も楽しみましょ、
などの言葉があるはずなのに、
どうしたのだろうと香澄が思っていると玄関のドアがゆっくりと開いた。
中から紗理奈が顔を出す。
「開けるのが遅くなってごめんなさい。どうぞこちらへ。」
紗理奈の表情は暗く、声にも張りがなかった。
(どうしたのかしら。何かトラブルでも?)
香澄は靴を脱ぎ、紗理奈の後に続く。
当然、例の地下室へ案内されると思っていたが、紗理奈はリビングの入口に立った。
「どうぞ。」
紗理奈は香澄と目も会わさずにそう言うと、
リビングのドアを開け、紗理奈を中へと導いた。
不思議な光景が広がっていた。
部屋の片隅のソファーに寄りかかり、
猿轡をした全裸の美奈子が、両足を大きく開き、腰を半ば浮かせた状態で、
この前香澄も使った双頭バイブを使って、アナルとオマ〇コを同時に刺激している。
麗子の姿は見当たらないが、
床にはおそらく麗子のものと思われる服や下着が散乱していた。
よく見れば、服も下着の引きちぎられてボロボロになっている。
「いったいどうしたの?」
香澄が驚いて後ろにいるはずの紗理奈に声をかけようと振り向いた。
目の前に立っていたのは、羽交い絞めにされ、涙を浮かべている紗理奈だった。
「ど、どうしたの?」
驚いて声をかける香澄の声に応えるように、紗理奈の後ろから男が顔を覗かせた。
香澄には全く見覚えのない顔だった。