鍵-3
指先まで丁寧に口に含まれるその優しい愛撫に愛情を感じずにはいられない、見つめ合えば唇を求め合う時間が許すのなら全てを萩原との交わりに費やしたいとさえ思う
身体の中に萩原を深く、強く感じると両腕をしっかりと背中に回し
「好き」
と何度もささやき、興奮と快感が高まってくると
「あなたのモノよ、あなたの女よ」
そんな言葉がいつも口に出てしまう、昼下がりのベットの上で求められていないのに年下の男の子の女になる事を誓ってしまう
萩原はその言葉に特に反応せず結衣を満足させる事が最優先だった
一人前だと思われたい気持ちがあった、憧れの女性の前で背伸びをしていた
「結衣さん」
名前を呼ぶ時もつい「さん」をつけてしまう、結衣と呼べるのは意外なことに普通に接している時だった
お互いの10本の指を絡めあい、大きく大の字に開かれ正常位で繋がっている
「もう私は心も貴方のものよ、あなた以上に私が夢中なの恥を欠かせないで」
恥を欠かせないでという意味はよくわからなかった
「恥なんかかかせてないよ」
「遠慮しないで、好きなように抱いて、好きなように感じて」
その言葉を聞くと同時に腰の動きが早くなる、安心させるように結衣は言葉をかけ続ける
「すごく気持ちいいよ、愛して!もう戻れない」
「俺もだよ、俺も離れられないよ!ああっう」
腰の動きが一段と早くなり結衣は押さえつけられたまま首を振りながら
上り詰めようとしていた
「あああっ」
絡め合う指を外し抱きしめ合いながらお互いの快感は高まっていく
特に萩原は今までにない興奮を感じていた
「ああっ最高だよ先生!結衣、結衣、大事にするよ!」
「来て、遠慮しないで、壊れてもいい!」
数回激しく突かれ、身体の中で何度も膨張を繰り返すのを感じたその後で萩原の身体が覆いかぶさってきた、耳元から聞こえる荒い呼吸が母性を呼び起こす
「和成さん」
「ずっと一緒だよ」
人妻として簡単には頷けない、結衣は抱きしめた腕に力を入れて
「少しでも多く時間を作るから許して」
と囁いた
萩原の本心は結婚することだった、結衣は初めての恋愛のようなものを感じていた
毎日のように夕方過ぎまで萩原の家に滞在するようになった、その時間は彼が帰ってこなくても関係なく徐々に伸びていき、迫田や清香が家にいない時間の全てに変わろうとしていた、もうこんな関係が半年以上続いていたそして迫田塾恒例のディズニーでの息抜きが行われる時期になっていた
「ディズニー会覚えてる?」
「ああっそうだねこの時期だね、俺浮いてたよね?」
「気を使ったわよ、来週なんだけど来ない?」
「関係ないのに?」
「主人には相談したんだけど、その前日に和成さんに塾で少し生徒に話をしてもらえないかと思って」
萩原は塾生の中でもトップクラスの成績で受験にも成功して大手企業に就職している、子ども達に話をするにはうってつけの人材だった
迫田もその計画には乗り気になっていることを伝えた
「綺麗な女性に憧れて夢中で勉強しただけなんですけどね」
「萩原君、その事は言わなくていいから」
「でも女性の力ってそれぐらい大きいんですよ、夢中になるって凄い力になりますよ」
和成のその言葉に共感する部分もあった迫田に惹かれて塾に来るのが楽しくなった事を思い出した、結衣の場合は結果として人生を狂わされている
「でもそんなに長く話せませんよ?」
「そこのところは主人と話し合いましょう」
この日は必ず迫田はホテルに泊まるはずだそこが結衣の狙いであり目的だった
準備は着々とすすめられた