隣の乗客-1
咲良も隣のブルーの上着の男の車両に行こうと、扉を開け試みたがこっちの車両と同様、扉付近は特に乗客が多く移動出来そうに無い。
無理に行けば、張り込み対象の2人に感づかれる恐れがある。咲良は、部下達にそう話し謝罪した。部下達は、
『大丈夫ですよ、チーフ。いつもの様に的確な指示さえもらえば自分達でやれますから。』
『3人いれば十分です。』
『楽勝、楽勝!』
と咲良を元気付ける。咲良は、
『気を付けて、油断しないでね。』
と返し、よく隣の車両が見える様に扉の中央付近に移動した。そして、窓から対象被疑者を良く観察しようと背伸びした時に、お尻に違和感を感じる。
【痴漢だ!】
咲良は、
【よりによってこんな時に!】
と忌々しく思いながら、後ろも見ず手を振って咲良のお尻を触ってくる厚かましい手を払った。
だが、また手は咲良のお尻を触ってくる。手のひらで撫で回す様に、咲良は振り払おうと手を下ろした時、手を掴まれ体に押し付けられる。
咲良は、振り返り痴漢を見ると、180cmはありそうな大柄な男で、黒系の上着に黒系のシャツ黒系のズボンと上下黒色系の服装をしたスキンヘッドの黒縁眼鏡を掛けた強面だった。力も強く押し付けられた手が動かせない。咲良が、
【マズイ事態になった、簡単にあしらえる相手じゃないかも?】
【まさか、痴漢相手に拳銃は使えない。】
と思っていると、スキンヘッドは強弱をつけ手のひらを咲良のお尻の大きさを確かめる様に全体を撫で回す。咲良は、開いて立っていた足の間隔を狭めお尻に力を入れた。
咲良が動こうとしたが、扉に押しつけられビクともしない。お尻を触ってくる感覚が強くなった気がしたので、振り返り自分のお尻を見ると、スキンヘッドは咲良のスカートをたくし上げパンスト越しに撫で回していた。
咲良は思わず、
『何してるの‼』
カッとしても騒ぎはマズイと思い小声で言う。スキンヘッドは、
『大きくて、良い尻だ。』
とやはり小声で返す。咲良は、
『やめなさい、今なら問題にしないわ!』
と言い押さえられていない手で、スキンヘッドの咲良のお尻を撫で回している手を掴む。スキンヘッドは、気にする様子も無く掴まれたまま咲良のお尻を撫で回すのをやめない。
その時部下より、
『張り込み対象の2人がスマホを見せ合ってます。スマホを時々打ちながら、スマホで会話しているように見えます。』
とインカムで知らせてくる。
咲良もその様子を見ようと扉の窓に注意を向けた時、スキンベッドは、咲良の丈の低いパンプスを履いた足を自分の足で強引に開き咲良の手を振りほどくと後ろから咲良の股間に手を差し込んだ。
部下に返事しようとして咲良は思わず、
『あっ!』
小さく声を漏らす。部下が、
『チーフ?』
と聞いてくる。咲良は、
『ごめん、ちょっと押されたの。』
『スマホを見せ合う仲なら、取り引き相手に間違いないと思う。でも取り引きが済むまで被疑者確保は待ちましょう!』
と答える。部下達が、
『了解!』
と言うのを聞いて会話スイッチをオフにする。スキンヘッドは、咲良が部下とやり取りしてる間、太い二本の指を前後させ、お尻の穴から秘部をやや強めに擦っていた。
咲良は、部下との会話で声を上げそうになるのを必死で我慢していた。咲良はスキンヘッドを睨み、
『もう、本当にやめて。やめないと•••』
『あぁ。』
と言いながら堪らず、スキンヘッドの手を掴む。スキンヘッドは、
『感じてきたのか?』
とニヤニヤ笑いながら聞く。咲良が、
『誰が、感じてるもんですか!』
『気持ち悪くなるだけよ、やめなさい!』
と強気に返す。咲良は、そう言いながらも先程からお尻を撫で回されて下半身が熱くなっている自分に気付いていた。最近、夫婦共仕事に子育てに忙しく性生活はほとんど無かった。
【そのせいで、痴漢なんかに熱くさせられているんだわ。】
と思うと頭を振り、
【何を考えているの大事な捜査中なのよ!】
と自分を叱った。咲良が自問してると、いつの間にかスキンヘッドの手が咲良の胸元付近に有り、胸を擦り始めた。咲良は我慢の限界に達しスキンヘッドの手を掴み、
『私は、捜査官よ。逮捕するわよ!』
と言った。スキンヘッドは、
『あんたが何者か知っているさ。あんたがこの車両に乗って来た時からずっと観察してたんだ。』
と言うと隣の車両に顔を向け、
『隣に犯人だか何だかが居るんだろ、痴漢なんか目じゃない。』
『あんた達が話してるのも聞いていたよ。』
とニヤリとした。咲良は、ブルーの上着の男の突然の行先変更で慌ててしまい、インカムで話す声が大きくなっていたのだと悟った。