奪還-5
「じゃあ女性職員捜査の方は、帝東組と関係の深い風俗店から当たってもらえるかな?潜入捜査がしたいなら自腹でね♪」
「ちっ、仕方ないなぁ…」
冗談っぽく舌打ちする杉山。若菜は意地悪そうな笑みを浮かべた。
「何なら私がその資金の交渉してあげてもいいわよ?マギーとさとみちゃんに♪」
その一言に2人は急に姿勢を正す。
「じ、冗談すよ!俺達、別に風俗で遊びたい訳じゃないっすもん、ねぇ…??」
「も、勿論さ!俺は嫁一筋だから…」
「フフッ、なら良かった。拉致されてる5人は美人でしょ?まずはホームページで店の人気嬢の中から最近入店した中で似てる人がいないか、探して貰えるかな?あとは炙り出し作戦はすぐにでも行うから、動きがあったらすぐに身動きとれるようにしておいてくれる?」
「はい、分かりました。」
2人はまずソタイに帝東組との関係のある風俗店のリストを貰い、そしてホームページで行方不明の女性職員を探し始めた。
「失礼しまーす。」
総監室に杏奈が入って来た。
「やめて下さいよ、失礼しまーすとかぁ。」
「だって警視総監様だからねー♪」
「もう…」
田口事件で深めあった絆は強い。杏奈は麻薬捜査のスペシャリストだ。何かと麻薬との関わりが強い若菜にとっては頼もしい存在だ。プライベートでも気の許せる数少ない友人のうちの1人なのであった。
「萬岸署も忙しいでしょ?」
「まぁねー。若菜が杉山君の事引き抜いたから余計ね♪」
「ごめんねー。」
「まーいいわ。代わりに優秀な人材が1人入ったから。」
「え?本当??杏奈さんが優秀とか褒めるならかなり期待できそうじゃん??」
「うん。しかもイケメンだし♪」
「えー!?マジ?見たい見たい!会わせてー!」
「そのうちね。あっちも若菜のファンみたいだから。」
「えー、ヤダァちょっとー、どうしよう♪体の準備はすぐにでも出来るけど、心の準備がぁ。私人妻なのにぃ…」
「アハッ!ま、期待しててね。それより清水らが撒き散らした麻薬をどう回収するかね。最近確かに麻薬売買が活性化してる。街のあちこちで売人がうろうろしてるわ?一般人がかなり買ってて、このまま行くと非常にまずい状況だわ。」
「そうね…、何か対策うたなきゃ。売人虱潰しに捕まえるだけの人員揃えるのも大変だし…」
「ただ辛抱強く続けてくしかないわね。」
「ですね。一応各署に連絡して麻薬捜査に力を入れるよう通達しとく。」
「了解。」
2人はソファーに座りコーヒーを啜る。