オークション-1
ココは小さな工場の立ち並ぶ都内下町
朝から鉄を打ちつける音・ドリルで穴を開ける音など様々な音が鳴り響いている
そんな一角にこの会社もある。
「主任!すいません今度のオークションの件なのですがぁ〜」
「何ぃ〜?あまり良い話じゃないみたいねぇ〜吉岡君」
「ハイッすみません」
・・・無・言・・・
「黙っていてもダメよ早く答えなさいッ!」
「実は目玉商品の牡犬がぁ〜ぁ」
話の途中で言葉を遮る様に
「その件は私が直接社長に報告して良い案を今回だけ頂きます。
絶対に失敗の許されない事案なので社長のお知恵を拝借します」
そう言うと手帳をパタンと力強く閉じてエレベーターの中へ消えていった。
「あぁぁ凄いよなぁ〜叱られると興奮するよ主任にはッ」
吉岡は口を半開きにして扉が閉まるまで
その長い髪タイトスカートから伸びる綺麗な脚の持ち主を眺めていた
涼子は鏡に写した自分の姿を念入りにチェックしている
サラサラの長い髪に紺のスーツ顔が少し引きつっている
涼子はいつも社長の前では緊張してしまう
服装のチェックを終えると涼子はスカートの中へ手を入れ洗面台に片手を置いて
脚を上げ器用に下着を脱ぐとスーツのポケットへしまい込み
再び鏡を覗き込み微笑んで化粧室を後にした
「失礼します!」扉を叩き返事を待つ
静かに扉が開かれると秘書の麗子が応対した
「あらッ!涼子どうしたの?」
「麗子姉ぇさん!実は今度のオークションの件に問題があってその報告」
「あれかぁ〜牡犬でしょ?」
「そうなの中々いいのが見つからなくてぇ〜」
「奴隷市場の常連がどうしても欲しがる様なッ目玉ってヤツでしょ?」
「そう!誰でも知っている有名人で若いアスリートだってぇ〜条件厳し過ぎよぅ」
「大変そうねぇ〜でもこれだけは失敗できないわよ涼子!」
「判っているだから社長にご相談をしに来たの」
麗子はインターホンを押すと涼子が来たことを社長に告げた
社長の机の前で身体を震わせて報告する涼子
「申し訳ありません社長。何とかお知恵を拝借したくて恥ずかしながら参りました」
「ああぁその件ならお前をサポートしてくれる人間を付けてやる
そいつに会って状況を説明しろ!」
「ハイ!ありがとうございます」
「お前ではまだ厳しい仕事だったみたいだなぁ女王様と言っても三流だな涼子!」
「申し訳ありません社長!イェご主人様」
涼子は深々と頭を下げると社長の前に膝まづいた
「このような醜態をさらしているならお前も奴隷市場行きだなッ!」
アゴを掴まれ強い力で頬へ指先が食い込んでいく
「ハイご主人様ぁ〜」
「申し訳ございません」
苦しそうに口をパクパクしながら必死に答える涼子
「まぁいいお前をサポートしてくれるヤツに良く教わるんだな!色々と(笑)」
涼子は微笑んだ社長を見て背筋が寒くなった
あの微笑を見せたときはいつも涼子は世界観が変わる想いをさせられてきた
女王様を気取り調子に乗っていた居た時も
いつのまにか自分が奴隷の立場になっていたし
姉までが社長の奴隷だと知らされた時もショックを受けた。
そしてまた微笑んだ社長が私の前で・・・
社長にお願いしたのは良いが凄く怖いどんな男なのか?
会うのが怖い涼子は恐怖を感じながら部屋を出た
姉の声も耳に入らずにただその場から逃げ出したくて慌てて部屋を出ていった