愛の芽生え-2
「そうそう、最近矢野さん依然と比べ元気になられたんじゃない、何でも花村さんと二人でスーパーにいらしてよ。」
「もう出来てるんじゃないか・・」
そんな噂が会員の中から聞こえてくるようになった。
静枝もなるべく矢野とは会場では距離を置いていたいたが矢野の心は先走っていた。
二宮と静枝が向かい合ってプレーしている姿に嫉妬していた。
「花村さん、バックを狙うから意識して返してください」
「はい、私の弱点ですね」
「そうですか、ハハハ得意じゃないかと」
「それどういう意味ですか、嫌らしいこと考えているんでしょう」
静枝も男たちに合わせて冗談をいうまでになっていた。
（やはり今日は告白しよう）
練習が終わるといつものようにシャワーを浴び着替えて玄関に向かった。
「花村さん、今日お暇ですか」
「はい、わたし矢野さん宅に伺う予定でしたよ」
普段と少し硬い様子の矢野にそう言った。
「じゃあお待ちしてます」
静枝は帰宅して昼食を終えると矢野の家に自転車で向かった。
途中スーパーで買い物を済ました。
いつものように矢野の部屋に入った。
矢野はソファーに掛けて待っていた。
「食事されたの」
「外食ですませたよ」
「どうしたんですか、少し様子が変ですよ」
笑みを浮かべてそばに座った。
「明日、家内の命日なんですよ、もう随分前のことになりますが」
「そうなんですか、明日お墓まいりですね」
「あの・・・」矢野はうつむき加減で話を躊躇っている様子だった。
「遠慮なさらないでお話しされたら、奥様の事は私も人から聞いていますから」
「花村さん、こんな私ですが…お付き合いさせていただけませんか？」
矢野は遂に告白したのだった。
「もうお付き合いしてるんじゃないですか、そうでなかったら私、度々ここには来ていませんよ」
矢野の顔がパッと明るくなった。
「いいんですね、嬉しいです」
「まあ、純情な方ね・・私、あなたの事好きですよ」
そんな言葉が返ってくるとは夢にも思わない矢野は天にも昇る気持であった。
「今日泊まっていってもいいかしら」
静枝はぼそりとはにかんで言った。
編集後記 律子さん続けてお読みいただいていますか、そろそろこの「義母」
も終わりが近づきました。メールを頂いていることに気付かず返事が
遅れました。またコメントをメールで頂けましたらうれしいです。