最後の迷い-2
さすがの紗理奈も真奈美が言っていることの理解に苦しんだ。
「ごめん。真奈美ちゃんの言ってること、よくわかんないや。
もう少しわかりやすく説明してくれる?」
「う〜ん。紗理奈お姉ちゃんの……、愛液?っていうんだよねぇ。」
「えっ?あ、ああ。うん。愛液が?」
「味が違うんだよ。その時によって。あ、人によっても違うんだけど。
紗理奈お姉ちゃんの味、美奈子お姉ちゃんの味、それからとしママの味。
みんな違うんだよ。」
「人によって違うのはわかる気がするけれど、
それだけじゃなくて、その時によっても違うってこと?」
「うん。ほら、今までも、としパパや潤一さんとセックスする時はさぁ、
ほとんど紗理奈お姉ちゃんも一緒だったでしょ?」
真奈美の突然の暴露に戸惑いつつ、紗理奈は雅和の顔色を窺いながら返事をした。
「う、ん。」
「紗理奈お姉ちゃんがした後に、潤一さんやとしパパとセックスする時、
ペニス、そのままでしょ?いつも……。」
「ああ、た、確かに、いちいちシャワー浴びたりしないもんね。」
紗理奈自身も、真奈美の愛液まみれの潤一のペニスをそのまま咥えたこともある。
紗理奈にとっても、そうした行為は面倒だからと言うのではなく、
数多くある、複数プレイにおける刺激の一つと考えていた。
「うん。だから、真奈美、紗理奈お姉ちゃんの身体の匂いはもちろんだけど、
愛液の匂いや味の違いもわかるんだ。」
「ああ、そ、そういうことなんだ。
ほかの人、つまり、美奈子やお母さんとの違いが判るってことだね。」
「うん。でもそれだけじゃなくって、あ、ちょっと物足りないんだなとか、
あ、すごくよかったんだなとか、あんまり気持ちよくなかったんだなっていうのも、
大体わかるんだ。」
女の満足度によって愛液の味や匂いが変わるというのは紗理奈にとっては初耳だった。
ただ今までにも何度も、真奈美の超能力ともいえる感覚には驚かされてきている。
今、真奈美が言っていることも、おそらくは事実に違いないだろうと紗理奈は思った。
「真奈美ちゃん、味や匂いの違いでそんなことまで判かっちゃうんだ……。」
「うん。だから、さっき思ったんだ。
あ、紗理奈おねえちゃんは、真奈美のお父さんとしてて、
とっても気持ちよかったんだなって。
だから真奈美も、すぐにお父さんとしてみたくなったんだ。」
真奈美は言ってから少し照れたような顔になった。
「お父さんとも?」
「うん。してみたくなったっていうよりも、前からしたかったんだよ。
う〜んとずいぶん前から。」
「そうだったんだ。」
「うん。でも学校のお友達と話していて、
そういうことっていけないのかなって思ってた時もあったし。
でも、とし君とか紗理奈お姉ちゃんとか、このおうちの人の話、聞いて、
聞いただけじゃなくって、目の前で見たりして。
ああ、ちっともいけないことじゃないんだってわかったけど、
なかなかそういうことってお父さんには言いにくかったりしてさ。
だから、紗理奈お姉ちゃんがとしパパとしているのを見たりすると、
真奈美、いっつも、とってもうらまやしくって……あれ?うやらま?」
「羨ましい、だよ。」
「あ、そうそう、羨ましくって。
だからさっき、やった〜!って思ったんだ。」
「さっき?」
「うん。さっき。あっちのお部屋で。
としパパにもお母さんにも、今日はいろんな人と仲良くできるよって聞いたから、
あ、真奈美、今日はやっとお父さんともできるんだって思ってたんだよ。
お父さん、それでもだめなの?」
真奈美は父親に身体を摺り寄せながら言った。
しばらくの沈黙の後、雅和がようやく口を開いた。
「お母さんが知らなくても、かい?」
「えっ?」
「お母さんが知らないうちに、お父さんとしちゃってもいいのかい?」
「知らないうちに?あ、そっか。お母さん、びっくりしちゃうかも。」
「だろ?だったらどうする?」
「う〜んと……。そっか。じゃあ、お母さんが来てから……。
お母さんに聞いてから、にする。」
雅和は真奈美の頭を優しく撫でながら言った。
「そうなんだよ、真奈美。なぜなら真奈美はお父さんだけの子じゃない。
お父さんとお母さんの子なんだ。
真奈美のことはお父さんだけで決めちゃだめなんだ。」
「うん。真奈美もそう思う。
お母さんに聞いて、お母さんがいいよって言ってくれたら、
お母さんがちゃんと見てる前でお父さんとセックスするよ。」
「見ている前で?」
「うん。さっき、潤一さんとしている時も、お母さん、見ていてくれたし。
それに初めてお父さんとするんだもの、きっとお母さんだって見たいと思うんだ。」
「真奈美は……。いやじゃ……ない、のかい?」
「何が?」
「その、つまり、お父さんと、その、セックス……。」
「だ〜か〜ら〜。真奈美はずっと楽しみにしてきたんだってば。
とし君とするのが一番で……。潤一さんはとっても優しくしてくれるし、
としパパは真奈美の知らないこと、た〜くさん教えてくれるし。
うん、一番安心で、真奈美がホッとできるのがとしパパとのなんだ。」
「そうか。そうなんだ。」
「うん。でね、としパパとしている時に、時々思うんだ。
きっと真奈美のお父さんも、こんな感じなんだろうなって。」
「敏明君のお父さんと似てるって事かい?」
「う〜ん。似てるっていうよりも、なんかホッとしそうな気がするし……。」
「…………。」
「あ、ほら、真奈美、今でも覚えてるんだ。お父さんのを。」
「お父さんの?」
「うん。まだ真奈美が小さかった頃、夜中に真奈美が見ちゃったこと、あったでしょ?」
「見ちゃった?えっ?」
「ほら、夜中に、お父さんとお母さん、裸でしてたじゃん。」
「……。」