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蛙の子は蛙 
【兄妹相姦 官能小説】

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恵介の自信喪失-1

男としてのプライド、兄としてのイメージ、息子としてのメンツ。
それらのすべてが目の前でガラガラと音を立て、
美沙希の笑い声とともに崩れていく夢を恵介は見続けていた。
(オレはもう男として生きていけない。)

そうは言っても死ぬほどのこととは思えない。
と言って女として生きていくつもりがあるわけではなかった。

あの日の夜だって何も考えずに突き進めば、
男としての面目はそれなりに保てたはずだった。

今まで自分なりに積んできた経験、
そして美沙希の女としての魅力的な身体。
さらには兄と妹が交わるという近親相姦の背徳的な刺激。

それらの刺激によってあれほどに十分すぎるほど硬く勃起したペニスは、
なんの苦も無く、美沙希の処女を奪えたはずだった。
そして、初めての経験でありながら、美沙希を絶頂へと導く自信もあった。
それなのに、余計なことばかり考えて……。

肝心な場面で貧血を起こしたのは、
あれこれといらぬことを考えすぎて脳がオーバーヒートした結果なのか、
それとも単に興奮しすぎて頭に血が上りすぎた結果なのか、
あるいは思いもしないような何かしらの病気が潜んでいるのか、
恵介には全くわからない。

要は、その原因が何であれ、貧血を起こしたことによって、
可愛い妹のバージンをもらうという類い稀なチャンスを逃したという事実、
そしてその妹の期待を裏切ったという事実。
どちらもあまりにも大きな汚点だった。


頭を切り替えて、美沙希に話しかければいいのだ。
〈この前はごめんな。今度は大丈夫だから。〉
いや、あるいは自分がその相手を再び務めるという前提さえ捨てても構わなかった。
〈美沙希。やっぱりオレよりもいい相手、見つけた方がいいぞ。〉

ただ、その勇気が出ない。
もしも美沙希に〈お兄ちゃん。最低。信じられない。それでも男なの?〉
などと言われたら、さすがに〈死〉を考えてしまうかもしれない。

美沙希は決してそんな言葉を口にしないことはわかっている。
今まで通りの仲の良い兄妹を演じてくれはするだろう。
しかし、もしも今後、美沙希以外の女性を抱いた時に、
何かをきっかけにフラッシュバックでもした日には、男としては終わるだろう。

恵介は、美沙希の心の問題はもちろん、
自分自身が抱えてしまった問題をも解決しなければならなかった。


そんな、悶々とした日が数日続いたある日、恵介のスマフォに着信があった。
「どう?そろそろ吹っ切れた?」
詩織からだった。


あの日以来、恵介は詩織とも連絡を絶っていた。
詩織に連絡をするということは、セックスしようと誘うのと同じことを意味する。
正直、詩織を抱こうという気持ちにはなれなかった。

詩織に連絡をとったのは意外なことに父親の雅樹だった。

雅樹と詩織、二人の間にどのような関係があるのかはここではあえて触れずにおこう。

とにかく恵介の様子を見かねた雅樹は、
恵介のセフレの詩織にすべてを話したのだ。
詩織にならば美沙希は経由で連絡する方法もあったが、美沙希はいうなれば当事者だ。
父親ならば今回のことに関しては第三者とも言えよう。

若かりし頃に女性との関係の中で男としての威信を失いかけた経験もある雅樹は、
恵介が男としての威信を取り戻すには、女の力、セックスの力しかないと確信していた。
だとすれば、その相手は中学生のころから関係のある詩織しかいない。
そう考えて詩織にすべてを打ち明けたのだった。

恵介の状態を聞いた詩織はしばらく考えた後、美沙希に連絡をした。
美沙希の、本当の思いを聞いておきたかったのだ。


「正直、どうなの?」
「そうですね。お兄ちゃんとの関係は、元通り、にしたいとは思ってます。
 でも、初体験の相手はお兄ちゃん、ということには、
 もうこだわらない方がいいのかなって。
 だって、お兄ちゃんをあそこまで悩ませちゃったんだもの。」
「そう。だったら美沙希のことは切り離して、恵介の復活を考えてもいいのね?」
「ええ。詩織さんの力でお兄ちゃんを復活させてあげてください。」
「それで考えたんだけど……〇×◇▽▲◆〇◇▽▲。」
「◇▽▲×◇▽。」
「〇×◇▽▲◆◇▽??」
「わかりました。お願いします。」
「わかったわ。あ、そうだ。大事なこと忘れてた。」
「大事なことって?」
「美沙希ちゃんのこと。美沙希ちゃんの初体験のこと。」
「だからそれはもう拘らないって……。」
「うん。だから恵介と切り離して……。
 美沙希ちゃんの気持ち、受け止めてくれる人と、ね。
 好きなんでしょ?大輔君のこと。」
「でも、大輔君。なかなかその気にはなってくれなくって。」
「うん。だから、そっちの方も任せてくれるかなあ。」
「詩織先輩にですか?」
「そう。恵介の男としての復権と詩織ちゃんの初体験。
 どっちもわたしに、というよりも、わたしたちに任せてくれるかなあ。」
「詩織先輩がそう言ってくれるのなら、お願いします。わたしの方は急ぎませんから。」
「わかったわ。恵介の方は少し急いだほうがいいから、
 さっそく明日にでも連絡をしてみるね。」
「はい。頼もしい兄に戻って欲しいですから。よろしくお願いします。」
「任せておいて。じゃあ、また連絡するから。」


そんないきさつがあっての、詩織からの連絡だった。
「そう簡単には吹っ切れないわよね。」
「ああ。自分でもわかってるんだけどな。」
「そっか。ところでさあ、ちょっと頼まれてくれないかなあ。」
「頼み事?金ならないぞ。」
「そんなこと期待していないわよ。電話じゃなんだから、今夜、うちに来てもらえる?」
「詩織の家?大丈夫なのか?」
「ええ。気にしなくていいわ。」
「じゃあ、とにかく行くよ。」
「じゃあ、あとでね。」


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