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ケイの災難
【コメディ 恋愛小説】

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香織と亜里沙の対立-4

智香は家族なので当然の様にいるのだが、まず見慣れた人というのが朱鷺塚姉妹であった。
香織曰く「昨日、智香から話は聞いたけどうちの病院とは思わなかったよ」と言いいながらお約束の如く俺の右足のギプスに笑顔で落書きをしてやがる。
そして香澄先輩の方は智香のお兄さんが入院したという事と、香織の付き添いという事で来てくれたらしい。
だが、俺のギプスに楽しそうに落書きをしてる香織を香澄先輩が咎めてるところを見ると、付き添いというよりお目付け役といった感じである。
香澄先輩は見舞いの花を智香に渡すと俺に「あまり無茶はしないで下さいね」と言うと、この後の予定が詰まってるらしく香織を残して早々に病室を出て行った。
「圭介、ゴメンねぇ、お姉ちゃんあれで忙しい人だからさ。気を悪くしないでね」
「悪くなんかしないさ。それどころか来てくれただけでも嬉しかったよ」
香織の言葉に俺は嬉しそうに答えると香織はジト目で俺を睨んできた。
「お兄ちゃん、お花生けてくるね。香織ちゃん、あとよろしくねぇ」
香織の変化を逸早く察知した智香は香澄先輩から貰った花と花瓶を持つとそそくさと病室を逃げたのだ。
妹よ、俺を置いていかないでくれぇーっ!!
逃げ出す智香をすがる様な目で追う俺を不機嫌そうな香織はベッドの側まで来ると、俺の顔を両手で挟み自分の方に向かせたのだった。
「なんか圭介の顔がとっても嬉しそうの見えたのは私の気のせい?」
拗ねた様に睨みつける香織の顔が俺の顔に近づく。睨まれてるとはいえ香織に顔を近づけられて俺は不覚にもドキッとしてしまい自分の顔が赤くなっていくがわかった。
しかし、恥ずかしいので顔を逸らそうとしても香織に押さえられてるので出来なかった。
「ふーん、一応私の事を彼女として認識してはくれてるんだね」
俺の顔をまじまじと見つめていた香織の表情が穏やかになると同時に頬を染めて目を閉じるとゆっくりと俺の顔に自分の顔を近づけてきた。
その時、俺は視界の隅に今一番来て欲しくない人の姿を見てしまったのだ。
「か、香織!待て!後ろっ!!」
圭介が指差す先には二人の様子を見てニヤニヤしてる奈津子の姿があり、圭介に指摘され振り向いた香織は奈津子を見た瞬間に耳まで真っ赤にした。
「あっちゃー、バレちゃったかぁ。まあまあ、私の事は気にしないで続けて続けて」
「ざっけんな!覗き見なんて趣味悪いぞ奈津ねぇ!」
「何言ってんの。こっちは気を遣って静かにしてたんだから感謝されこそすれ邪険にされる覚えはないわよ」
奈津子は楽しそうに笑いながら背もたれていた病室の壁から圭介の寝ているベッドに歩いてくると固定されている右足をペシッと叩き、それと同時に圭介は苦悶の表情を見せ悲鳴を上げたのだった。
そしてその間、香織は赤面したまま硬直していた。
「それにしても圭介、これどうするのよ!来週に撮影があるってのに!!」
「しょーがねーだろっ!好きで骨折ったんじゃねーんだからさっ」
圭介のギプスに『バーカ!!』と落書きしながら文句を言う奈津子に圭介は悪態をつき睨み合ううちに病室の空気は険悪になってきた。
その時、新しい来客がドアをノックして間もなくドアが開き「おにーちゃん!」と呼ぶ声と同時に病室に小さい見舞い人が入ってきた。
小さな見舞い人は俺と奈津ねぇの険悪な空気を無邪気な笑顔で破壊するとベッドで横になってる俺に抱きつきツインテールにまとめられた髪をぴょこぴょこ揺らしながら頬擦りをして甘えてきたのだ。
「ほーっ…圭介ぇ、あんたこんなちっちゃい子に手ぇ出してたの……」
今まで呆然としてた香織が急に怒りのオーラを纏い俺を睨みつける。そしてその様子をニヤニヤと笑いながら傍観してる奈津ねぇ。
「ち、違う!これはだな……」
「こらっ麻理絵!ちゃんと挨拶をしないとダメでしょう!」
「亜里沙おねーちゃん遅いよー」
慌てて弁解しようとする俺の言葉を遮るように病室のドアから聞き覚えのある女の子の声が聞こえてくると俺に抱きついていた女の子が口を尖らせて文句を言った。
俺達が声の主の方に顔を向けるとそれぞれ違う意味で驚いたがその中でも香織が一番驚いていた。


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