香澄の覚悟 性奴隷!?-1
征爾は香澄の意図を確かめるように香澄をじっと見つめた。
征爾のいくつかの短い問いかけに、香澄は小さな声で答え、大きく頷いた。
征爾は香澄を抱き寄せ、頬にキスをすると、あの男性に声をかけた。
男は征爾の言葉に頷き、部屋の隅にあるクローゼットの扉を開けた。
「彼は紗理奈のボーイフレンド、いや、セフレの潤一君です。
とても優しい男で、真奈美ちゃんもお気に入りの男です。」
すぐに潤一が箱を二つ持って現れた。
「お父様。これでいいでしょうか?」
「うん。ありがとう。じゃあ、みんなに君から説明してくれ。」
潤一は箱の中から取り出したものを女性たちに一つ一つ手渡していく。
「はい。ではお母様と美奈子さん、真奈美ちゃんも香澄さんもこれをつけてください。」
そう言って潤一が手渡したのはアイマスクだった。
目の部分は開いていて視界は確保されている。
真奈美は箱の中身がまだ気になるらしく、中を覗き込んでいる。
「あ、真奈美ちゃん。気に入ったものがあったら使ってもいいよ。」
そう声をかけられた真奈美は宝箱でも見つけたかのように、箱の中身をあさり始めた。
「わ〜。凄く細い〜。これ、着けていいの?」
真奈美が取り出したのはひも状のビキニだった。
「うん。自分でできるかな?」
「うん。面白そうだから、自分でやってみる。」
「香澄さん。ここには男が3人。征爾さんと、敏明君。そしてボクです。
旦那さんに見ていただく時の相手は誰がいいですか?」
「そうね。潤一さんの身体もぜひ、後で味合わせていただきたいわ。
でも、最初はやっぱり……。」
「とし君だよね。」
真奈美がひも状のビキニと格闘しながら言った。
「真奈美ちゃん……。」
「だって、今日はとし君のパーティーだもの。主役でしょ?
お母さんも主役だって、としパパが言ってたよ。」
「わたしは違うわよ、真奈美ちゃん。」
「いいえ。香澄さん。あなたも、あなたのご主人も、今日の大切な主役です。」
「そうよ、香澄さん。主役の相手役は主役に決まってるでしょ。
敏明だって、真奈美ちゃんだって、最初からそのつもりだったみたいよ。」
「真奈美ちゃん、それでいいの?」
「うん。真奈美は潤一さんとしたいな。あ、最初は、だよ。
だって今日はみんなと仲良くできるんでしょ?としママ?」
真奈美は周りを見回しながら答えた。
「ええ。みんなと仲良くできるわよ。
ただ、最初は真奈美ちゃんのお母さんが主役だからね。」
「あ、そうだよね。これからご対面、だっけ?それがあるんだものね。
うん。じゃあ、お母さん、しっかりね。お父さんにちゃんと見てもらおうね。」
そう言うと真奈美は潤一に抱き付き、困った表情でビキニを手渡した。
「やっぱり難しかっただろ。ほら、後ろを向いて。」
それがきっかけの合図だったかのように、それぞれがアイマスクをつけた。
征爾は妻の麗子と、真奈美は潤一と抱き合い、キスを始めた。
香澄はまだ決心のつかないのか、敏明の差し出す手を握ったままじっと立っていた。
紗理奈の妹、美奈子は所在なさそうに周りを見ている。
そんな美奈子を征爾が呼びつけ、何事か耳元でささやいた。
美奈子は喜び一杯の顔で壁にある衣装を手に取り、身に着け始めた。
「あれ?このアイマスク、何にも見えないよ。」
「うん。真奈美ちゃんのだけ、みんなのとは違うものなんだ。
前に着けたこと、あるでしょ?」
「あ、潤一さんにしてもらった時だ。あ、じゃあイヤフォンもつけるの?」
潤一は征爾の顔を伺いながら言った。
「そうだね。しばらくの間、つけておこうか。」
部屋の照明はさっきよりも少しだけ落とされ、妖しげな雰囲気が部屋一杯に溢れた。
敏明は香澄の肩を抱き、そっとささやいた。
「おかあさん。今度はバックからでいい?」
「ねえ、とし君。もう一つ、お願いしてもいい?」
「うん。何でも言って。」
「あのね。やっぱり、そのおかあさんっていう言い方、やめて欲しいの。」
「何か気に障った?」
「ううん。そう呼ばれるのはとっても嬉しいのよ。
でも、夫の前でそんな風に呼ばれるのはなんか馴れ馴れしいっていうか。
前から親しかったみたいでしょ?その言い方って。」
「まずいの?」
「ううん。まずいって言うなら夫以外の男の人とこうしていることの方が、
よっぽどまずいでしょ?」
「確かにそうだね。じゃあ、何て呼べばいい?」
「そうね。やっぱり普通に香澄、さんって呼んでくれればいいかしら。」
「今更、さん付けんかあ。せっかくもう一人のおかあさんみたいに感じてたのになあ。」
「ねえ、敏明君。」
いきなり香澄が敏明の身体を突き放した。
「えっ?」
「さっきから文句ばっかりね。
あなたがわたしのことを香澄って呼ぶのは常識的には上から目線。
偉そうに聞こえるわ。
だから、夫の前ではきちんとさん付けで呼んでって言ってるの。
さっきも言ったでしょ?
夫に、わたしが前から敏明君と親しいように思われたら困るのよ。」
「でも、旦那さんの前でボクに抱かれるんですよ?
前から親しいとかどうかなんて、あまり関係ないんじゃないですか?」
「ねえ、敏明君。なんでわたしの言うことにいちいち逆らうの?
さっきから文句ばっかりね。」
「別に文句なんか……。気に障ったなら謝ります。」
「あ〜もう嫌。誰もあなたに謝ってほしくなんかないわ。
もしも謝るとすればこの家全員の人間よ。」
「香澄、さん。どうかしたの?」
「どうもこうもないわ。もういい加減に嫌になったのよ。
あなたたちみたいな変態家族と付き合うのが。」