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スペースコロニーN-335第一娼館
【SF 官能小説】

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H星人(最終回)-3

 どれくらいの時間が流れたのだろうか……。
 ノラは真っ白な部屋の、真っ白なベッドの上で目を覚ました。
 部屋の中にはB星人の%#&$とG星人のシュルリ……ノラは何が起こったのかわからなかった……自分は……H星人にレイプされて死んだのではなかったのか?……。
「目が覚めたようだね」
 %#&$がそう言う。
「……あたし……死んだんじゃ……」
「確かに死んでしまったよ」
 今度はシュルリ……余計に何が起こったのかわからなくなる。
「だったらどうしてあなたたちと喋ってるの?」
 当然の疑問、だがB星人の%#&$はこともなげに言う。
「クローン技術さ、君はクローン人間として生まれ変わったんだ」
「そう……なの?……」
 わからないことだらけだ。
「でもあたし、H星人にレイプされたのを覚えてる……どうして?」
「記憶を移植したのさ」
「移植って……誰に?」
「君自身さ」
 余計にわけがわからない。
「見てごらん」
 シュルリが鏡を差し出す……そこに映っているのは確かに自分のようだが、ずいぶんと若い。
「15歳の君さ」
「どういうこと?」
「それは私から説明しよう」
 %#&$が語り始めた。
「実はシュルリ君とは旧知の間柄でね、20年ほど前、私が爆発事故で崩れた建物の下敷きになって瓦礫の中に閉じ込められてしまった、その時助けに来てくれたのが彼だったと言うわけさ」
「まあ、狭い所をすり抜けるのはG星人の得意とするところだからね、それを生かして救急隊に勤めているのさ」
「あの時、私は脚を瓦礫に挟まれてしまっていて身動きできなかった、大量の出血もあって彼がすぐに助けに来てくれなかったら失血死していたかも知れない状況だった、彼にはいくら感謝してもしきれない、その時から親交を持つようになったのさ、で、15年前に彼が私の研究室に持ち込んだ一本の髪の毛、それは君の髪だったわけだが、その一本の髪から私はクローンを作り出し、そのクローンは今の今までこの研究所の培養液の中で育っていたわけだ」
「夕べ俺はレイプ事件発生の報せを受けて現場に飛んだ、そこで目にしたのが血まみれになって死にかけていた君だった、俺は病院に君を運ぶと%#&$さんに記憶の移植を頼んだ、そう言うわけだ」
「つまり……私は15歳の自分に生まれ変わったってこと?」
「ご名答」
「そう……いつの間にかそんなことが出来るようになってたのね」
「いや、研究は進めていたが実際にクローンに記憶を移植したのは初めてだ、君は最初のケースだよ、まだ法的にも認可されていない技術なんだ、クローンを培養していてもオリジナルが心肺停止状態、かつ脳死していない状態で見つからない限り記憶の移植は出来ない、クローンと言えども他人の記憶を移植するわけには行かないし、同じ人間が二人存在するのも拙いからね」
「だけど死にかけている君を見た時、%#&$さんも認可がどうとかはどうでも良いと言って、記憶の移植をしてくれたわけさ」
「そうなんだ……あたしはこれからどうすれば良いの?」
「法的には君は死亡したことになっている、私自身が死亡診断書を書いたし、遺体は火葬された、15歳の君は存在していないはずの人間なんだ」
「やっぱりそうなるわよね……」
「これからどうするね? 実を言うと我々もそこまで考えていなかったんだ、君と言う存在が消えてしまうのが怖くてね、夢中で記憶の移植をしてしまった」
「あたしが生きて行く術……それならあたし自身が一番良く知ってる」
「それは?」
「元の娼館に収まることよ、娼婦はいちいち法的にチェックされたりしないし、15歳若返っただけで今のあたしが元のあたしとすり替わるだけなんだもの、整形手術で若返ったことにでもすれば良いわ、あたしの記憶は持っているんだもの、ばれっこないわ」
「つまり娼婦として生き直すと?」
「そう言うことになるわね、一生……」
 そう言いながらノラは髪の毛を一本引き抜いて%#&$に差し出した。
「この髪からもう一体クローンを作って置いてくれる? もしあたしが死んだらもう一度記憶を移植して、そしたらまた娼婦になるから……あたしみたいな女はいつの時代でも絶対に必要でしょ? だからあたしは永遠の娼婦になるの、それがあたしが知ってるたった一つの生きて行く術だから……。」

(スペース・コロニー・N-335 第一娼館  終)


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