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スペースコロニーN-335第一娼館
【SF 官能小説】

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A星人-1

 ノラはとある惑星に建設中のコロニーに住んでいる、正式名称はスペースコロニー・N-335。 
 職業は娼婦。
 ここでの『お仕事』は過酷だ。

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 22世紀に入ると地球の人口は許容量を越えてしまった。
 パイの大きさが変わらないなら口を減らすしかない、人類はそれをためらわずに実行してしまう、早い話が戦争である。
 20世紀に開発された核爆弾だが、21世紀までは抑止力として機能して来た、強大な軍事力を持たない小国でも核を持つことによって軍事大国に対抗できる。
 『核拡散防止条約』なるものはあったものの、『すでに所有している大国は核を持っていても良い、だが小国は持つな、新たに製造することもまかりならん』などと言う理屈が通用するはずもない、22世紀を迎える頃にはほとんどの国で核を持つようになった。
 そして、一発でも核が使用されてしまえばタガは外れてしまう、殲滅させられかけた小国がせめてもの抵抗とばかりに核ミサイルを相手国に撃ち込むと『核には核を』の応酬となってしまい、地球上に人類が、と言うより生物が住める場所はごく限られるようになってしまった。
 何のことはない、人口は激減したが人口密度はもっと過密になってしまったのだ。
 その結果、人類は他の惑星に進出する他なくなった、そうやって造られた移住地のひとつがこのコロニー、同じようなコロニーは何千とある。
 コロニーの工事が始まって労働者がやって来ると、同時にある職業の女性たちもやって来る、いわゆる人類最初の職業・娼婦というやつだ。
 
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 コロニーに暮らすのは地球人ばかりではない。
 環境は地球型に整えられているので、岩石人間や金属人間と言った地球人からかけ離れている異星人は暮らせないが、見た目やサイズが大きく異なっていても地球型環境で暮らせる異星人ならば労働力として受け入れたのだ。
 当初、ノラがいる娼館は地球人だけを客としていた、だがその状況が大きく変わったのは、地球で放射能除去装置が発明されたことによる。
 すでに人口は激減している、そこへ持ってきて住める土地が爆発的に増えたのだから、地球人はこぞって地球へ帰って行った。
 その結果、コロニーに残るのは地球へ帰還する金のない者、そしてコロニーを建設し続ける異星人ばかり、ノラたちは異星人も相手にしないわけには行かなくなってしまった。
 もちろん、あまりに地球人とかけ離れている種は相手に出来ないが、何とか受け入れ可能な種ならば客にせざるを得ないのだ。

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「ノラ、お客様だよ」
 ドアの外から女将の声がする。
「もう? 少しは休ませてよ」
 まだ前の客が帰ったばかり、規則では客が帰って20分以内にロビーへ降りて行って客待ちをすれば良いことになっているのだが、ノラは売れっ子なのだ。
 歳は30歳、生まれはこことは別のコロニーだが、両親はともにJAPANと呼ばれる国から来た地球人だった。
 15歳の時に事故で両親をいっぺんに亡くし、ここの女将に引き取られた。
 コロニーにも地球の法律は適用されるから、本来なら養護施設に引き取られるべきなのだが、現実的にはどこのコロニーでも定員が限られていてごく幼い子供しか引き取れない、あぶれた孤児はそのまま野垂れ死にするか、犯罪組織に拾われて、男ならば鉄砲玉に、女なら街娼にされるしかない、そして彼ら、彼女らが長生きすることはない、数年の内に路上で死体となって発見されるのがオチだ。
 だが役所から公認されている娼館の娼婦ならばそこまで悲惨な末路にはならない、ノラはある意味幸運だったのだ。
 表向きは女将の養子と言うことになるが、実際には店に出されることは公然の秘密、そして娼婦は不足しているから行政も事実上黙認している、成熟した社会を対象に作られた法律は発展途上のコロニーには合致しない、そのギャップを黙認と言う形で埋めているのだ、まして他のコロニーから連れて来られれた娘ならば戸籍や記録はいかようにもいじれる。
 ノラは身長155センチ体重45キロ、少々小柄でスリムだが出るべきところは出て締まるべきところは締まっている抜群のプロポーション、背中までかかる艶やかな黒髪と切れ長の目を持つ、女将が言うにはJAPANESEの特徴を色濃く持っているらしい、癖のない端正な顔立ちは地球人ばかりでなく異星人にも好まれる、15歳からこの商売をしているので経験も充分だ。
「ご指名なんだよ、さっきのお客が30分延長しただろう? その間待っててくれたんだけどね」
「はいはい、わかったわ、今度はなに人?」
「A星人だよ」
「A星人かぁ……きっついなぁ……」
 A星人は決まって身長180センチ、体重80キロ、筋肉質の逞しい体をしている、肌は南国の地球人を思わせるが、褐色というよりも赤黒いと言った方が近い。
 実は現在のA星人は元々のA星人ではなく、肉体労働用にクローン技術で造られた、いわば奴隷だった。
 A星は文明が進んだ星だったのだが、惑星の衝突による惑星規模の大災害があり、クローン奴隷に肉体労働を全て任せて脆弱になっていたオリジナルのA星人は全滅、強い肉体を持っていたクローンだけが生き残った、その末裔が現在のA星人なのだ。


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