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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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是奈でゲンキッ! 番外編 『シークレット・ガールズ』-16

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「なんじゃこりゃー!」
 彩霞は都子に渡された、100円ショップでもって3冊100円ででも売っていそうな安物のノートの中味を読みながら、プルプルと手を震わせて居た。
「却下! 却下! 却っ下ァーー!!」
 そしてノートを床に叩き付けながら、激しく肩で息を煽る。
「えーーーっ! なんでよぉーー! おもしろいじゃなぁーーいっ!!」
 都子は、彩霞が投げ捨てたノートを拾いながら、不機嫌そうに口を尖らせていた。
「なのなぁ都子ぉ! 文化祭だぞ文化祭っ! 何処の世界にたかだか公立高校の文化祭演劇で、スピルバーグだか、ジョージルーカスだか解らんような、特撮映画張りの演劇をやらにゃーならんのじゃぁっ!! だいたいそんな大それた物(もん)が出来る訳ないだろうっ!」
「ええーーっ! ……駄目なのォ ……どうしてもぉ」
「駄目です! 駄目ったら駄目っ!」
 どうやら仲良し3人組は、今年の文化祭の出し物としてクラスで行う演劇の、脚本会議とでも言うべく、出し物の企画について話し合って居たらしい。
 都子が考えてきたSFチックな台本を廻って、ああでもないこうでもないと、話はまとまらない様子である。
 都子は、それでも諦めきれないのか、徹夜で考えてきた台詞やシナリオの書かれた大学ノートを握り締めながら、
「ねえやろうよ! ぜったいおもしろいってぇっ!!」
 食い下がって、引かない。
 そんな都子に向かって、彩霞は胸の前で腕をクロスさせてX(バッテン)を作り。
「こいつまだ言うかっ! 駄目なもんは駄目っ! 駄目ったら駄目っ!」
 と、都子の企画書に駄目だしの、念押しをする。
「だいたいさぁ、サイボーグだのエスパーだなどと、そんなもんどうやって演技するんだっ! 舞台セットだって、リアリティーの有る物なんて作れやしないしぃ! それになんで俺だけ普通の人間なんだよ! それと悪の首領だか何だかしらねーけど、田原のやつがなんでうちの劇に出てくるんだぁ。あいつはよそのクラスだろうがぁ!!」
 ごもっともな意見に都子も反省一入…… なんて事は有り得ない。
「なに言ってんのよ! 文句ばっか言ってると、監督権限で彩霞なんか ”ヒーヒー”としか台詞の無い下っ端戦闘員にしちゃうんだからね!」
「っんだとぉー、こいつうっ! お前こそ何が『怪盗ミーヤ』だ! なぁーにが『ガーディアンZ』だっ! ネーミングのセンス無さ過ぎっ!!」
「なんですってぇーー!」
 最早、企画会議も何も有ったもんじゃ無い。二人して取っ組み合って騒ぎを始めると。
「ちょっと二人とも止めなさいよっ! もう一度最初から考え直そうよぉ!!」
 と、是奈も二人の喧嘩を止めるべく、騒ぎに割って入った様子であるが。
「五月蝿い! ガーディアンZ! てめーは引っ込んでろ!」
「そうよっ! 是奈ちゃんばっかり良い思いはさせないんだかねっ!」
「なによそれっ、どう言う意味っ! あたしが何をしたって言うのよ!」
 組つ解れず、とうとう三人で場外乱闘張りの大喧嘩を始める始末であった。
 そんな三人の騒ぎを見詰めながら、真由美は目を点にして口を開け広げたまま、呆れ果て、電池の切れたロボットの様に、固まって居た。
 そしてそんな是奈たちの様子を見ていた、2年B組の委員長『浅波 恭介(あさなみ きょうすけ)』は、力なく突き出した右腕を震わせながら、
「うちのクラス…… 文化祭では喫茶店をやるって…… 既に決まってるんだけどなぁ」
 そんな事を呟いた様であったが。
 どうやら委員長の声など、彼女等の耳には、入いっちゃぁ居ない。


 おしまい。


 この物語に登場する人物、団体等は架空の物であり、実在する企業及び、法人等とは一切なんの関係もございません。そして『交通博物館』に関する表記につきましては、事前に許可を頂いて居る事を、ここにお断りさせて頂きます。関係各位様のご好意、まことにありがとうございました。
 尚、東京都内に有りました『某JR交通博物館』は、平成18年5月14日を持ちまして、閉館となっております。

 源春


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