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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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是奈でゲンキッ! 番外編 『シークレット・ガールズ』-15

 嘉幸は、攻撃が当たる瞬間、テレポートで真由美の背後に回り込むと、
「エネルギー衝撃波って言うのは、こう使うんだ!」
 と、真由美のそれよりも強力な衝撃波を手から放ち(はなち)、真由美の背中へと叩きつけたのだった。
「キャーーーッ!」
 真由美は防御もままならず、嘉幸の攻撃を喰らって吹っ飛ばされる。
「藤平さんっ!」
「真由美ぃーーっ!」
 是奈と彩霞は叫びながらも、嘉幸までもがエスパーだった事に驚き、途惑った。
 そんな二人を尻目に、嘉幸は吹き飛ばされて倒れた真由美に留めを刺すべく、又してもテレポートで彼女に急接近すると。
「さよならだ、藤平さん」
 そう言いながら、念力で作り上げた光の槍を、彼女の背中に突き立てたのだった。
 真由美、絶体絶命!
 その時。
”バシーーーンッ”
 と、力強い是奈の鉄拳が、嘉幸が持っていた槍をなぎ払い、彼の身体を真由美から遠ざける。
 是奈はさらに、
「ばか! ばか! ばかー! 田原くんの馬鹿ぁーーーっ!」
 泣きながら嘉幸を滅多打ちにしながら、その勢いでもって、彼を大きなコンクリートの壁へと押しこんで行った。
 だが。
「君の馬鹿力には改めて驚かされるよ。でもね、力でぼくは倒せないんだよ」
 嘉幸は、是奈の連打を浴びながらも、表情一つ変える事無く、淡々とそんな事を言ってのけると。今度も手から黒い雷を出し、それを是奈に押し当てて、気合と共に彼女をも吹き飛ばす。
 是奈は嘉幸の攻撃をくらって20メートルほど吹っ飛ばされると、それでも直ぐに立ち上がって、更なる嘉幸の攻撃に対峙しようと身構えた。が、目の前には既に嘉幸の姿は無い。
「朝霞さん、君とは良い友達になれたかもしれなかったけど、残念だよ」
 そう言う嘉幸の声に、是奈も声のする方へと視線を送る。
 嘉幸は又してもテレポートを使ったのだろう。何時の間に回収したのやら、負傷した(故障した)都子の身体を抱きかかえて、少し離れたガレキの上からそんな事を言いながら、是奈を見詰めて微笑んで居た。
「卑怯だよ、田原くん! そんな優しい顔されたら…… あたしもう…… 戦えないよ……」
 戦意を無くした是奈は、大粒の涙を流しながら、ただただ、佇む(たたずむ)のみであった。
 そんな是奈を見詰めて、嘉幸も「フフンッ!」と鼻で笑うと。
「今日の所はこれで失礼するとしよう。こいつも早く修理してやらないと、本当に死んでしまうからね。では諸君! さらばだっ! また会おうっ!」
 嘉幸は都子を抱えたまま、テレポートで姿を消した。


 気を失っている真由美の事は、彩霞が見て居てくれたらしい。
 是奈はヨロヨロと彩霞に近づくと、
「ごめん中村さん、あたしもう限界みたい…… この薬…… リバウンドがキツイから…… 藤平さんのことお願い…… 早く病院に連れて行って…… あげてね」
 そういい残すと、是奈もまた気を失い、倒れたのだった。
「是奈っ! おいっ、しっかりしろ是奈っ! 是奈ぁーーーっ!!」
 ガレキの荒野には、悲しげな彩霞の叫び声だけが、いつまでも響いているだけだった。


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