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Twin Guns 無敵の女刑事
【制服 官能小説】

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秘めたる炎-1

城南市が見渡せる小高い丘の上にある霊園。そこに花束を持ちある人の眠る墓に赴く1人の女性がいた。華英だ。そろそろあの人の命日。華英は定期的にこの墓をお参りしている。

墓の前に座り花束を置く。線香をあげ、まるで人と対話するかのように話しかける。
「渡辺さん、すみません、最近あまり来れなくて。」
そう言って深々と頭を下げる。
渡辺とは華英が刑事になった時から指導してもらった先輩の渡辺智則だ。サーガ事件の幕開けとなった城南市柳井町の西進不動産ビルの爆破事件で、警察が追っていた真田竜彦の身柄を確保しようとビル内に入り爆破に遭ってしまい命を落とした。華英がここまで頑張れたのも常に華英の中に渡辺の存在があったからだ。今でもあの時の悲しみは癒えなかった。

「あれから何年経ちましたかねぇ。何年経ってもあなたには追いつけませんけど。あ、違いますよ?渡辺さんの指導は最高です。私に能力がないだけです。いつもマギーに助けてもらってばっかで、ホント情けないです。今はマギーと一緒に行動してるからいいですが、マギーと離れたら私、ミスばっかで何にも出来ないです、きっと。」
肩を窄めて申し訳なさそうな顔をする。

「でもこの街を良くする為、一生懸命に仕事してる自信はあります。上原さん、マギー、石山さん…私はいつもいい上司に恵まれてます。彼女達の背中を見てれば自ずと正しい方向が分かりますから。でも私はもっと渡辺さんの背中を見ていたかった。今でも夢に出てきます。あの爆発の瞬間。明日は渡辺さんの代わりに自分が爆破の被害者になる夢を見よう、そう思ってますが、いつも私は爆破の後、蹲ってあなたの亡骸に向かい泣き叫んでます。過去は変えられないんですね、やっぱり…。」
そう言って悲しげな顔をした後、意を決したかのように表情を引き締めた華英。

「もう分かってるかも知れませんが、今まで胸に閉まっておいた事を告白します。私は…、ずっとモヤモヤしたものを抱き続けたまま今日まで来ました。そのモヤモヤとは、渡辺さんの命を奪った奴への復讐です。私はそれが出来ずにずっとモヤモヤしてます。真田も佐川ももういない。あなたの命を奪った奴らに私は復讐出来ずにずっと胸がモヤモヤしてます。復讐する相手がいないんですから…。いや…」
その瞬間、華英の目つきが鋭くなった。

「いや、いなかった…、気づかなかった。復讐は一生出来ないものだと思ってました。でも…、知ってしまったんです。あなたの命を奪ったのが佐川ではないと言う事を。あのビルを爆破したのは佐川だとされてますが、違うんです。他に犯人がいる事を私は知ってしまった。そいつはまだ生きている。でもまだ確証が得られてません。それを今密かに調べてます。復讐は上原さんやマギーを欺く行為なのは確かです。でも私には復讐を諦める自信はありません。ごめんなさい、渡辺さん。私の刑事生命は終わってしまうかも知れません。でも私はそれでも後悔はしません。復讐出来ない事の方が後悔するからです。だからあなたの部下である三島華英は今日、死にます。今から私は悪魔に魂を売ったひとりの犯罪者になるつもりです。ごめんなさい、今日はその報告で参りました…。」

華英はそれから暫く手を合わせたままずっと動かなかった。


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