手受け式 -乙葉と浩介-(2020/02/10)-4
乙葉が話を続ける。
「それでね、これもお母さんから聞いたんだけど・・・、
結構昔に、手受けがうまくいかなかったことがあるんだって。
でね・・・、その翌年、たまたまなんだろうけど、
ものすごい不作になっちゃって、村が大変なことになったみたい。
それ以来、村の人達は手受け式を大事にしてるんだって。」
「へー。
そんなことがあったんだ・・・。
ふーん・・・。
・・・・あのさ・・、
うまくいかなかったって、どんな感じだったの?
乙葉は知ってる?」
浩介は真剣に尋ねた。
「・・・うん。
これもね、お母さんから聞いたんだけど・・・。」
乙葉が頬を赤くさせて言い淀んだ。
「なに?」浩介が促す。
「あのね・・・、
あれがね・・・、その・・・、精・・液がね・・・、
あっちこっちに飛び散っちゃったんだって・・・。」
乙葉は真っ赤になってしまった。
「・・・・・・・そっか、
そうだったんだ・・・。」浩介も場面を想像して顔を赤らめた。
「・・・うん。
だから、お母さんが『練習しなさい』って。」
乙葉が浩介の顔をじっと見て言った。
「そっか・・・。
・・・・・・分かった。
・・・・・・・練習しよう。」
浩介も乙葉の顔を見て答えた。
* * *