犬使いの少女-6
俺は玄関ドアの内側から息を殺して外の様子を探る。隣の部屋のドアが開き、その中から出てきた靴音はドアを閉める音がしてから間もなく遠ざかっていくと、そのまま掻き消えてしまった。
俺はほっと胸をなで下ろした。
そして玄関から部屋の中を見渡すと、少女が俺の部屋を物珍しそうにあちこち眺めていた。その足元では犬が少女の歩みに合わせてうろちょろしている。
「……へえ〜っ、永瀬のお兄さんの部屋の中ってこうなってるんだぁ」
少女は覚えたばかりの俺の名字を早速口にして、好奇心いっぱいの眼差しで俺の部屋にある物一つ一つをチェックしている。
「……恋人がいる気配は無し、か」
「……うるさい」
少女の的確な観察力に俺は少々ムッとする。
少女はけらけら笑いながら痛さの残る股間を刺激しないように前屈みでゆっくり部屋の中に入ってくる俺の側に近寄ると、いきなり俺の下半身にしがみついた。
「ちょ、ちょっと!?」
「……ごめんね、お兄さん。痛かったでしょ?」
少女の小さな手が俺のベルトを外しにかかる。俺の困惑した頭は何のリアクションも思い浮かべることができずにそのまま少女の行動に身を任せてしまう。
少女はベルトをズボンから抜き取ると、ズボンのチャックを下ろして俺の腰からズボンを引き下げる。
そのはずみで俺はその場に座り込んでしまった。
少女の白く小さな手が俺のトランクスにかかる。俺は依然何の言葉も発せられず何の行動も起こせないまま、自身の下半身の前にうずくまって細やかに動き続けている小さな躯をぼうっと見つめていた。
そのうちに俺のトランクスも膝まで下ろされる。
「……うわぁ……」
少女は少し上方へと起き上がってしまっている俺のモノをあらわにすると、大きな瞳をさらに大きく見開いて凝視する。
「……あ、あの、ち、血が出てる、よね」
少女は俺のモノの根の部分に血が滲み出ている傷を見つけると、赤く短い舌を口の先に出して、そっと頭を俺の股間へとうずめていく。
少女の小さな手が俺のモノを柔らかく握って、根っこの部分をなめやすいようにそっとどかす。
少女の舌が傷口に届き、血を拭い取るようにゆっくりと動き出す。俺は時折股間に痛みが走るのを覚えながらも、
それ以上に強く与えられている快感に腰を震わせる。
「……はぁ……はぁ……」
俺の股間に少女の口から熱い吐息がかけられる。俺のモノが敏感に反応して硬さと大きさを増していく。
「ちょっと、そ、そんなこと……」
俺は渇いた喉の奥から、それだけの言葉をやっと口にすると、少女はすっと顔を上げて聞き返してきた。
「……どんなこと?」
「い、いや、どんなことって言われても……」
彼女がなめているのはあくまでも傷口だけである、ただ傷ついた場所が昨日は手で今日は股間というだけだ、などという理屈で割り切れるほど俺はできた人間ではない。またそんな理屈でそそり立った物を鎮められるほど、それは刺激の弱い行為でもなかった。
少女の可愛いサイズの舌が俺のモノの根っこの部分をなめあげる。彼女の細く短い指が俺そのものを軽く包みこんで、彼女が息継ぎのため顔を上げる度に左右に振る。
それは時折走る傷の痛みすら心地よく思わせるほど圧倒的な快感だった。