意地を選んで恥辱にまみれ-4
鋭く筑波は切り込んできた。
「私はあまり暴力団などの分野には詳しくありません。なので急遽この特集が決まってから一夜漬けで色々と資料を読み込んだんですけれども……山勇会と関西・帝龍会の対立、これが根っこにあるんじゃないでしょうか」
「あたしの口からは、うかつなことを申し上げる訳には参りません」
「どうもありがとうございます。その濁し方が何より雄弁に実相を物語っているようで、我が意を得た思いですよ」
さすがに筑波一郎、下卑た与太者記者たちとは違い、核心を突いた質問をしてくる。
しかも、朱代がこうむっている被害を暗に視聴者たちへ知らせる効果も果たす、見事な誘導の仕方だった。
筑波のいう「圧力」を駆使して局を動かし、特集を組ませたらしい大谷は、かえって帝龍会のマイナスイメージを植えつけられる結果になる。
罠にからめ捕られ、もはや後に引けなくなってしまった朱代ではあるが、恥辱の公式発表の場で多少なりとも帝龍会に一矢報いることができそうだと感じた。
「何や筑波のおっさん、ダラダラしょーもない話ばっかさらしよって……」
テレビ前に鎮座した大谷は、股間に跪いた若い女の頭をグイッと引き寄せた。
根元の太い巨根をねじ込まれた女は、えずきながらも抵抗せず応じている。イラマチオには慣れている様子であった。
「ほやけど……朱代はん、ただでさえ別嬪がますます引き立っとるやないけ。テレビ局でプロのメイク屋が塗っとるだけあって、よう映えとるわ」
画面に映し出された朱代の滑らかな卵型の顔を眺め、大谷は舌なめずりをした。
朱代を見てますます怒張を増していく大谷に、女が抗議の目を上げた。
「大谷さんマジ失礼だよ。目の前にぴちぴちの十九歳がいるのに、おばさんばっか見て興奮しないでくれる?」
「なんや妬いとるのんか?」
大谷は楽しげに女を見返し、その名を呼んだ。
「かわええとこあるやないけ、凛子」