[もう一人のダンナ様=n-2
優乃は声を上げて泣いた……。
滂沱の涙を流して泣いた……。
言葉にならないくらいの想いを込めて、優乃は恭介を「ダンナ様」と呼んでいた。
世界でたった一人の特別な存在だからこそ、「ダンナ様」と呼んでいたのだ。
それをこんな……用意周到にレイプの準備をする汚らしいにも程がある変態オヤジに自分は……優乃は自己嫌悪にかられると同時に、恭介に心の中で詫びた……。
『ん〜?誰が「ダンナ様」だってえ?しっかりと目を見て言わないと伝わらないぞぉ〜?』
芦澤の表情はドロドロに蕩けた。
変態さながらの固有名詞を口にさせ、そして念願の《ダンナ様》をその口から引きずり出したのだ。
ベッタリと優乃に張り付いた芦澤は汗と涙に濡れる頬を両手で包むと、接触寸前まで唇を近づけてそぅっと囁いた。
『俺がダンナ様か?この芦澤義和が優乃のダンナ様なのかあ?』
「ひっ…うぅ!だ…ダンナ様…ッ……ふひッ…ダンナ様、もう許してくださいッ」
もう止めて欲しいからダンナ様と言っているのを優乃は隠そうともしていない。
だがそんな理由など些末なもの。
優乃が直接、我が目を見ながら囁いたという事実があればそれでいい。
『ん〜、許してやるぞぉ?「義和様があたしのダンナ様です」ってハッキリ言えたら、もう酷いコトはしないよぉ?』
「ヒック!ヒックッ……よ、義和様が…ッ……あたしの…ヒック!あたしのダンナ様です…ッ……これで許し……あぷぷぅ!?」
芦澤は唇を重ねて言葉を遮った。
鼻水で鼻が詰まる優乃がグズグスと苦しげに鼻を鳴らすが、構わず唇に吸い付き、そして舌を絡めた。
『クチュッ!もっと言って?もっとダンナ様って呼んでくれよぉ』
「ぷあッ……ダンナ様…ッ……もう許してッ……ダンナ様、許して……ブチュッ」
本物の哀しみの涙を流す以外、この光景は相思相愛な夫婦の営みそのものだ。
芦澤のキスを優乃は当然のように受け、求められるがままに「ダンナ様」と呼んでいるのだから。
この今の優乃の姿を恭介に見せてやりたい。
悍ましい革の拘束具に彩られた自分の妻が、乳首を勃起させて哀しげに咽び、唾液を散らして赤の他人と口付けしている様を……。
いや、まだまだこんなものじゃない。
芦澤が優乃に求めているものは、もっと下品で退廃的な姿なのだ。
芦澤は優乃を抱き起こし、そしてそっと俯せにさせた。
アナル妻の本領は、まだ発揮されていないのだから……。