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[幸せな隣人]
【鬼畜 官能小説】

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「寂しい」なんてイヤなんです・・・-1





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小野原夫婦がこの家で生活を始めてから約一か月が過ぎた。
新しくて大きな家に優しい夫……幸せいっぱいな新婚生活に違いないのだが、優乃の心には「寂しい」という気持ちが強く生まれていた。



『じゃあ明日は柿崎常務とゴルフに行ってくるから』


金曜日の夜、遅い夕食の最中に切り出された接待ゴルフの話に、優乃の気分は更に落ち込んでいった。
例えそれが前々から知っていた事だったとしても……である。

夏から秋へ……恭介の会社では上期から下期へと移行していた。
営業部の部長として、営業チームの上期の予実報告や活動内容のまとめに始まり、下期のスケジュール管理や予算達成への展望等、上層部への提出書類の作成で忙しかった。
他支部への出張なども重なる事もあり、その為に土日であっても自由な時間など作れず、優乃は一人で過ごす週末ばかり過ごしていた。

そこにきて接待ゴルフの話である。

全く新婚生活らしくないと不満は溜まるばかりで、膨れっ面の一つも作りたくなるのは致し方あるまい。


「……もういい…ッ」
 

優乃はプクッと頬を膨らませてプイッと顔を背けると、椅子から立ってリビングの合成革のソファーに行き、不貞腐れた態度のままで座って恭介に背中を向けた。


『前から言ってただろ?いや、オレも優乃を放ったらかしにしてる訳じゃなくてさ……』

「だって仕事だもんね?だって上司だもんね?パパにとって大事なコトってくらい分かってるッ」


恭介の立場は充分に理解しているつもり。
でも、この新居での週末はあまりに寂しく、夫婦である事がより孤独感を強くさせている。


『ねえ優乃。ゴルフって言っても、ただ遊んでる訳じゃないんだ。柿崎常務から会社で話せない仕事とかのノウハウを教えてもらったり、部下との付き合い方を教わったり……オレの勉強の時間でもあるんだよ?』


思わず感情を露わにしてしまった優乃に、徐々に罪悪感が生まれてきた。

二人の生活の為に恭介は頑張っている。
ただ自分が「寂しい」と感じたからと、わざと拗ねて見せるとは幼稚な態度ではないか…?


『「奥さんは大切にしないと。君が仕事をきちんと熟せるのは、奥さんがしっかりバックアップしてくれてるからだ」って、柿崎常務も言ってくれてたよ?優乃のコトだって気にかけてくれてるんだ。あまり悪く思わないで……ね?』

「ッ〜〜〜〜」


やっぱり自分は子供だ……優乃は自分が恥ずかしくなった。
責任ある部長という立場と、更に重責を背負う常務との良好な関係に、その部長の妻である自分が不満を抱くなど愚かな事だと気づいた……。



『オレだって休日を楽しみたいよ?優乃と一緒に……』


恭介の気持ちは少しも離れてなどいない。
勝手に拗ねて勝手に怒り、自分の未熟さに胸を痛めただけ。

ソファーの横に恭介が座った……素直に謝ることすら出来ない子供な優乃は、座面の揺らぎを言い訳にして恭介に凭れ、それでも背を向けたままにして唇を噛んでいる……。






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