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最後の、最高の学園祭
【学園物 官能小説】

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本番に向けて 合宿1日目 その7 ジュンコのロストバージン-1

ジュンコは黙ったまま、健の後ろについて歩いた。
健が部屋に入ると、ジュンコは入り口のところで固まっていた。
「おい、ジュンコ。どうしたんだよ。早く入れよ。」
「あ、は、はいお先に、どうぞ。」
「お先にって、俺はもう入ってるって。」
「あ、はい、今、入ります。」
そう言いながらもジュンコはドアを開けたまま立っていた。
「仕方ねえなあ。ほら。」
健はジュンコの肩を抱き、そっと部屋の中へ導いた。
「あ………。」

(これじゃ、まるでラブホテルに引きずり込もうとする男みたいだな。)
「おい、本当にどうしたんだ?なんかあったか?」
「いえ、べ、つ、に………。」

健は各部屋へ移動するときに愛依の言った言葉を思い出した。
「お前、なんか悩み事、あるんだって?」
「悩み、ごと?い、え、べ、つに。」
「じゃあ、どうしたんだよ。お前らしくもない。」
「わたしらしくない………。ねえ、だったらわたしらしいってどんな?」

いきなりそう言われて健も口ごもった。
「ジュンコは………。いつでも強い。」
「それって暴力的ってこと?」
「いや、それもないわけじゃないけれど…。
 お前の心って言うか、気持ちって言うか、男よりも…男らしい。」
「それって、お前は女じゃないって言ってるみたいに聴こえるよ。」

ジュンコはそう言いながら本当に悲しくなってきた。
自分がひそかに心を寄せていた健からも男のように思われていたのかと思うと、
自然と涙があふれてきた。

「おい、泣くなよ。ホントにそんな意味で言ったんじゃないって。
 俺の言ってるのは………。」
健はそこまで言うと、ジュンコを思い切り抱きしめた。
「わかった。もう何も言うな。言わなくていい。ジュンコはジュンコだ。
 ジュンコらしいのが一番だ。」
健は自分でも何を言いたいのかよくわからなくなってきた。
ただジュンコのことが愛おしくて愛おしくてたまらなくなってきた。
泣いているジュンコがいじらしくて可愛らしくて守ってやりたくてたまらなくなった。
「ジュンコ。こうやって抱きしめていてもいいか?」
ジュンコは健の胸の中で小さく頷いた。

どのくらい時間がたったのだろうか。
ジュンコは健の心臓の鼓動を感じながら自分の気持ちを整理していた。
自分は本当に自分らしく生きて来たのだろうか。
どこかで自分を偽ってはいなかっただろうか。
愛依のことを守ったのは、本当に愛依を守りたかったからだろうか。

自分の行動と自分の気持ちにずれはなかったか、偽りはなかったか。
ジュンコがあれこれと考え込んでいるのを見て、健は言った。

「あのさ。いろいろと訳アリなんだろうけど、俺は俺のペースで行くからな。
 俺、今までも、ジュンコに対して真正面からぶつかってきたし、
 これからもそのつもりだから。
 そうしなきゃ俺じゃねえからな。」
そう言うと健はジュンコを抱き寄せてキスをした。
ジュンコはされるがまま、身体を固くして動かない。
健の一方的なキスがしばらく続き、ようやく健が唇を離した。
「俺は俺らしく。だから、多少荒っぽいけど俺なりの愛情表現させてもらうからな。
 お前も無理に変わる必要、ねえんじゃねえ?」
健はそう言い放つとそのままバスルームに直行した。

着ているものをすべて脱ぎ捨ててバスルームに入る。
目の前に大きな鏡があった。
健は鏡に映る自分を見ながら考えていた。
(ダメだ。俺じゃジュンコを支えてやれねえ。
 どうすりゃいいんだよ、あんなに緊張しちゃってるジュンコに対して。
 愛依が言うように、きっと何かあるんだろうけど、
 俺じゃ役不足だぜ。)
健はシャワーの部を目いっぱい開いた。
冷たい水が頭からかかる。
(チクショー。どうすりゃいいんだよ。助けてやりてえじゃねえかよ。
 笑わせてやりてえじゃねえかよ。
 こんな時は俺なんかよりも流星の方が役に立つんじゃねえのか?)

健はシャンプーを手に取り、思い切り頭にかけ、シャンプーを始めた。
大量の泡と水が頭から降ってくる。
健は目をつむり、思い切り髪の毛を擦った。

《ガチャッ》

背後で何か音がしたような気がする。
(なんだ、ドアがちゃんと閉まってなかったのか?)
そう思うものの、大量にシャンプーをかけてしまったせいで、
なかなか泡が出るのが止まらない。
冷たい水ばかり浴びていて身体も冷えてきたが、
シャワーのノブがある場所さえも分からなくなってきた。
(チクショ〜。俺、いったい何やってんだろ。)

冷たいはずの水の温度が次第に上がってきて、お湯になった。
(なんだ、温まってなかっただけか。)
健は少し冷静になり、シャンプーを丁寧に洗い流した。

あまりの泡の量で目の中にもシャンプーが入ってしまいなかなか目が開けられない。
(まったく、お先真っ暗だぜ。タオルは…。やべ、持って来てねえや。)

健が脱衣所へタオルを取りに行こうとすると不意に手にタオルらしきものが触れた。
(ラッキー!!これで拭いちまうか…。)

タオルらしきものを手に取り、顔を拭いた健にようやく周りの様子が見えてきた。
湯気で曇った鏡に水をかけ、曇りを取り除く。
びしょ濡れの自分の姿が鏡に映し出される。
まだ半開きの目をよ〜く開けてみると、自分の背後に何か影が映っているのが見えた。
(ん?なんだ?)

健はもう一度目をよく洗い、タオルで顔を拭き、もう一度鏡をのぞきこんだ。
「??????」
裸の人間が立っていた。
しかも…よく見れば…女、だ。
(えっ?誰?えっ?まさか?幽霊?)
宿泊施設の風呂場に女に幽霊、よく聞く話だった。
健は幽霊が苦手だった。
ケンカなら負けたことはない。蛇でもなんでも怖いものはない。
唯一の苦手が幽霊だった。
(なんだよ。学園モノの話に幽霊かよ。)


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