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遠恋カレンダー
【女性向け 官能小説】

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11月:酉の市-6


「そう言うもんなのよ。まけてもらった分だけご祝儀で払うの。
結局金額は変わらないけど、縁起ものだからね」

そう笑う私に小川くんは感心して
「古き良き日本の風習だな」
と買った熊手を嬉しそうに見つめた。

「はい。ほのかさん」
「え・・・」

「来年もほのかさんに、幸せと健康が来ますように」

買ったばかりの熊手を私に差し出す。

「小川くん・・・」

「来年の酉の市でも、再来年の熊手を一緒に買いに来よう」

それは未来につながる約束で。
毎年11月に来年の幸せを祈る。

「ありが、とう」

「それから―――
ドイツには『帰る』んじゃない。『行く』んだ」

さっき、私がその熊手をドイツに行くのに持って帰れるの?って聞いたことだ。
「俺が帰ってくる場所はほのかさんのところだよ」
「・・・うん」

リサのいるドイツじゃない。
そう言ってくれているようで嬉しかった。

「来年は俺がご祝儀を払うぞ!」
急に雰囲気を明るくして笑う小川くんのその笑顔に
色々な意味が込められていた―――



11月の花:クリ
花言葉:約束




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