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遠恋カレンダー
【女性向け 官能小説】

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11月:酉の市-5

すると右側の出店から手締めが聞こえた。

「わ!何?」

いきなりの手締めにビックリする小川くんに
「値段交渉が終わって商談が成立するとその出店を囲っているお客さん全員が手締めをするのよ。あ!ほら!」

隣の店でも熊手が売れたようで
「よぅ〜お!」
と言う売り手のおじさんの声に合わせて囲むお客が一斉に手締めをした。

小川くんと私もその手締めに合わせて「パン!」と手を叩く。

「俺も買おう!」

しばらく歩いて、いくつかの手締めに参加した小川くんは楽しそうにそう言って

「あれぐらいかな」
と、両手のひらぐらいの大きさの熊手を指差した。

「え!あんな大きいのドイツに持って帰れる?」
「いいから」

そう笑っておじさんに値段を聞くと5000円だと言う。

「小川くん、値切って!」
私も笑いながらそう教えると
「え?縁起ものなのに値切るの?」
「いいの。そのやり取りが楽しいんだから」

何回かのやり取りの後、4000円までまけてもらって。
「勝った!(買った)」
「負けた!(まけた)」の定番のやり取りをして
「よぅ〜お!」の手締めをしてもらった。

私はそっとおじさんに
「ご祝儀ね!」
と1000円を渡す。
「え?」「え?」と困惑する小川くんに
「ねーさん、若いのに粋な買い方を知ってるね」とおじさんが笑った。


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