深まる敏明の家族たちとの関係-3
麗子は真奈美と「オナニー」についてのルールを作った。
「真奈美ちゃんのしていることは、悪いことではないけれど、
やり過ぎると身体を壊してしまうの。
だから、1日に1回だけ。
毎日してもかまわない。
したくなったら、無理に我慢する必要はないわ。
でも、おうちの人には見つからない方がいいかな。
真奈美ちゃんの成長が早すぎて、お父様やお母様が驚いてしまうから。」
「うん。1日に1回だけ。何回もやらないよ。」
「それから、このディルド以外に、
真奈美ちゃんの中に変なものを入れたりしないこと。
その代わりにこれをあげる。
ここがスイッチ。
動かなくなったら、こうやって、電池を代えるの。
これも、大人の女の人が使うものだから、おうちの人には内緒。
お母さんが欲しがったら、真奈美ちゃんも困るでしょ?
もしも、壊してしまったら、おばさんに言うのよ。
すぐに新しいのをあげるから。
ね。1日1回だけ。それ以上は、身体に悪いの。」
「うん。あ、これ、クネクネ動くんだ。オモシロ〜イ。」
「真奈美ちゃん。約束は?」
「1日に1回。お母さんとお父さんには内緒。あとは・・・。」
「壊れたら、直ぐにおばさんに言うこと。」
「そうだった。」
しかし、それから程なくして、真奈美は友達との会話から、
自分がしている行為が『オナニ』、
あるいは『マツタケベイション』とかいう名前で呼ばれていることを知ることになる。
(そうか。みんな、やってることなんだ。)
真奈美はクラスの女子たちとじ自分が同じ仲間だと知って嬉しくなった。
朝、教室に行くと、女子を捕まえては
「ねえねえ、昨日の夜、オナニ、した?」
「真奈美ねえ、今朝、マツタケベイションしてから学校に来たんだよ。」
などと話しかけるようになった。
クラスの女子たちは、真奈美から離れていった。
小学校卒業が近づいてきた。
敏明の症状は一進一退だった。
斎藤家と生野家は相談し、真奈美と敏明の中学を、
家からは少し離れた私立の中学へ通わせることにした。
斎藤家に関わりのある私立の学校だったので、
真奈美の学力でも入学することが出来た。
敏明は、敏明が登校できなくなった時点で、
斎藤家内に通級指導教室を設置したこととし、
半ば強引に中学への進学が認められた。
真奈美の両親は地元の中学への進学を望んだ。
小学校時代の仲のいい友達がいた方が安心だったのだ。
しかし、担任からは、真奈美がクラスの中で浮き始めていることも伝えられた。
そのきっかけが、「マツタケベイション」「おなに」発言だったことは、
担任ももちろん知らなかった。
子どもたちは大人が思うほど、子どもではない。
大人には絶対に知られないところで、分からないように、
じわじわと弱者を追い詰めていくのだ。
生野家は、思い切って斎藤家の提案に賛成した。
真奈美には当然戸惑いがあった。
(どうして自分だけ、別の中学に行くんだろう。)
そんな不安に駆られた真奈美は、紗理奈に相談した。
「真奈美、お友達がいなくて寂しいんだ。
今まで仲の良かったお友達が、このごろちっともお話ししてくれないし。
真奈美のこと、なんか変だって言うんだよ。」
いつしか、紗理奈は、真奈美が本当のことを話せる、
実の姉のような存在になっていたのだ。
真奈美は、紗理奈から、
友達が離れていった原因は真奈美自身にあることを教えられた。
学校は、そういったことを話題にする場ではないのだ
ということを真奈美は学んだ。
中学校生活が始まると、当然のことながら、
クラスの中に真奈美の知った顔はなかった。
しかし、何人かの気のいい女子が、真奈美に声をかけてきた。
真奈美は紗理奈の教えを思い出しつつ、話題を選び、話すようにした。
生来、優しく人を疑うことを知らない真奈美には、
やがて何人かの顔見知りができた。
真奈美自身は友達と言うものに対して特別な思い入れを持っていたので、
「真奈美ちゃん。友達になろ!」と言ってくるクラスメイトに、
少しだけ違和感を持った。
しかしそれも、紗理奈が言った、
【真奈美ちゃん。友達は、たくさん作っていいんだよ。
本当の友達は、なかなかできないけど、
友達がいないと、本当の友達もできないからね。】
という言葉を思い出し、
明るい笑顔で「ホント?うれしいな。」と言えるようになっていた。
小学校時代の友達がいないことは、真奈美にとって幸いだった。
当然、「マツタケベイション」や「おなに」発言を知る人物は
一人もいなかったからである。
このころ、敏明への治療は停滞期に入っていた。
真奈美自身の疲れ、あるいはマンネリとでもいうのだろうか。
いや、これは、真奈美の新たな成長へのスタートを意味していた。
真奈美のフェラの技術は麗子の指導もあり、格段に上達していた。
敏明のペニスは真奈美のフェラによって、
今まで以上に硬く、太く、勃起するようになった。
セックスに移り、敏明のペニスを挿入する。
その太さも硬さも、真奈美のオマ〇コを十分に満たすほど、
立派なモノへと成長していた。
しかし、ここからも、主体は真奈美だった。
真奈美は敏明のために動かなければならなかった。
しかし、真奈美は自分の身体の中に芽生え始めた快感を、
もっと追求し続けたくなってきたのだ。
勿論、敏明を感じさせるために動くことは、
自分自身の刺激を高めることにもつながった。
しかし、真奈美は責められてみたくなったのだ。
今の敏明に、それを求めることはできない。
真奈美のストレスは、真奈美の気づかないところでたまり始めていた。