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バイクでGO!
【その他 官能小説】

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真弓の素性-1

俺は気づいていた。
俺は真弓のことを前から知っている。
髪型は変わっているが、体の特徴はもちろん、
声もしゃべり方もあの女にそっくりだった。

一致しないのは、あの卑猥な言葉の連呼と年齢だった。
彼女は行為の最中、ほとんど言葉を発しなかった。

あの女に会ったのはたしか4,5年前のこと。
俺は16,7で、あの女はどう見ても俺より年上だったような気がする。

あの時味わったフェラの味。
あれはどう考えても熟練した女のモノだ。

だとすると、あの女は若くても20代後半。あるいは30代だっただろう。
でも、真弓はどう考えても俺より年下だ。
それは真弓自身が言っているし俺自身もそう感じていた。

他人の空似?あるいはあの女の生まれ変わり?

激しい行為が終わり、夕焼けを見ながら、
二人して汗だくのまま抱き合っている時に俺は思い切って聞いてみた。

「お前は、誰だ?」。

すると、真弓は、
「なに、それ?。ちょっと前にはやった映画?笑える〜。」
と俺の質問をするりとかわした。
「そうじゃなくて。俺、前にお前に会ったことあるだろ?」
「いつ頃?」
俺の顔を覗き込むように真弓が聞いてきた。

俺は頭の中で必死に計算して、答えた。
「…今から…4,5年前。」
「ちょっと、その頃わたし、小6か中1じゃない?」
「ヤク〇ト、配達…してたわけ、ないか。。」
「ちょっと、どうして小6のわたしが、ヤク〇トおばさんしてなきゃいけないの?」
「いや、そうだよな。そんなわけ、ないよな。」
「で、その女って、どんな女?」
「いや、バイクで一緒にツーリングして。それで…」
「セックスした?」
「ああ。」
「バッカじゃない?どうして12歳のわたしが、バイクに乗れるわけ?
 あなたとセックスする?」

真弓が言うのも無理はない。
俺自身、真弓とセックスしながら、自問自答を繰り返していたのだ。

共通点はたくさんあった。
そもそも顔がそっくりだった。
でも、もしも真弓があの女だとしたら、
小学6年生があのボディーとあのテクニックを持っていたことになる。

でも、今日、俺たちが初めて会った時、
つまり真弓が俺を追い越して行った後、
ジュニアを出しっぱなしだった俺を見て、
真弓は確か「あなたを探してた」と言っていたような気がする。
つまりは、真弓は前から俺を知っていて俺を探していたということになる。

 (お前は誰だ?あの女の幽霊か?それとも。。。)

「まったく。悩んで悩んで袋小路に迷い込みましたっていう顔ね。あのね。」
真弓は一度俺から離れ、俺の目を見つめた後、
また俺に抱き付き、ゆっくり話し始めた。

「あなたが探している人、わたし知ってるわ。
 そしてあなたのこと、わたしは知ってた。」

(禅問答のようだ)頭の回転の悪い俺は、理解に苦しんだ。
(だから聞いたんだ。「お前は、誰だ?」と。)

そう怒鳴りたかったが、あえて冷静に、真弓の言葉の意味を頭の中で考えた。

そう、結論は簡単だった。
真弓は、が「峰不二子」と勝手に名付けた女の姪っ子だった。

それもただの親戚ではなく姉妹同様に、
いや、姉妹以上に深いつながりを持って生活していたのだった。

あの「ヤク〇トおばさん」は当時29歳。
あれから間もなくして、病気で亡くなったそうだ。

真弓は彼女の亡くなる直前、彼女からいろいろなことを打ち明けられたらしい。
真弓にとっては実の姉以上の関係だったようで、
彼女は死の数日前からうわごとのように。
意識がはっきりしている時には真弓に訴えるように、
元気だったころの自分の「最高の1日」について話したのだという。

その1日があの、俺との1日だったのだ。

彼女にとって、あの1日は、
自分が健康を害し自由に動けなくなる直前のかけがえのない1日だったのだという。
彼女は、自分に女としての最高の喜びを与えてくれた男のことを、
真弓に熱く語ったという

真弓がまだ12歳という幼い少女であるのにも関わらず、
女としての人生の最高の喜びの瞬間がどんなものだったのかを
熱く語ったというのだ。

 「あなたもいつか、最高の男に、最高の喜びを与えてくれる男に出会ってね。」
 それが彼女の、真弓に残した最後の言葉だったそうだ。
 
真弓は彼女が亡くなった後、彼女が残していった言葉の中から、
俺につながる手がかりを見つけ出し、
その一つ一つにすがるような思いで今日まで過ごしてきたという。

「今の季節なら、あのあたりを走っていそうだわ。」

真弓は彼女の残したその言葉を頼りに、
彼女の記憶の中にあった俺の面影や特徴、
そして買い替えて廃車になっている可能性もあった、
彼女が覚えていた当時の俺のバイクのナンバーを頼りに俺の住所を突き止め、
俺の周りにオレの生活をリサーチし、
もしかしたらという思いで、
今日たまたまこの地を訪れたのだと言った。

俺の腕の中に、あの峰不二子がいた。俺は思った。
(この女を死ぬまで、いや、死んでも離したくない)と。
 真弓は俺がずっと追い求めていた、探し続けていた、
あの「峰不二子」の生まれ変わり、いや、それ以上の存在だった。

 俺は真弓をきつく抱きしめた。
「真弓。俺といつも、いつまでも一緒にいてくれ。
 俺はお前のことをずっと待っていた。
 お前に会えるこの日をずっと待ち続けていた。」

 俺は、知らないうちに涙を流していた。
 真弓の目にも大粒の涙が浮かんでいる。
 真弓が改めて、俺の胸に飛び込んできた。
「わたしを死ぬまで離さないで。
 いつでも、いつまでも、一緒にいて。」

 俺は、真弓をきつくきつく抱きしめながら言った。
「お帰り。もう、二度と離なさないよ。」


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