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任侠と女たち
【調教 官能小説】

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その1-5

客の男はゆっくりと男達のその前に立った。
「さっきから、見てましたが、余りにひどいじゃないですか」
ぐっと睨むその目は鋭いが、それでも言葉は紳士的だった。
もう一人のケンタと言うヤクザ男が睨みつけながら言う。

「お前はこの街のものじゃないな、おい!どこのもんだ?」
ケンタは男を威嚇した。
この状態で平然としている男など、ざらにいるわけでもない。

「いえ、しがない者ですよ、こんなことをしてそれでもあんたらは男ですかね」
「なにい!この野郎!」
喧嘩っぱやいケンタは、素人風のそんな男に舐められて黙っていられない。

肩をいからせ、右手で握り拳を作ると、
その拳は空を切り男の顔を殴りつけようとした。

その拳で男の顔が打ち砕かれると思った瞬間に、
彼は巧みにヒラリと身をかわした。
「ちきしょう!」

殴り損ねたケンタはバランスを崩して、だらしなくよろけた。
すかさず思い直し今度は反対側の左拳で殴ろうとしたが、
それも見事にかわされた。

男はシャドウ・ボクシングのように左右に身軽に体をかわす。
それを見ていた相棒のテツジは、男の後ろから襲い掛かろうとした時、
ヒラリとよけた男の後ろ回し蹴りで胸を打たれ、どうとひっくり返った。

その拍子に、テツジは運悪くテーブルの角に額を打ち付けた。
ゴツン! と鈍い音がした。
「あっ! いてえ、チキショウ……」

テツジの額は切れて血が滲む。
しかし、この状態でまだ男は体を交わすだけだった。

見知らぬ男に適当にあしらわれて、
ケンタとテツジがこのままにして引き下がるわけがない。
ヤクザが人の前でこのような無様な姿を曝すなど、これ以上の屈辱は無いからだ。

「この野郎!ぶっ殺してやる!」

額に傷をつけられ、
拭いた手に血が滲んだテツジを見て興奮したケンタは冷静さを失っていた。
懐に手を忍ばせ何やら掴んだ、それは鋭いナイフだった。

左手で掴んだそのナイフを、利き手の右手に素早く置き換えると、
腰を中腰にして身構えた。

まさに、それは一髪危機の状態になっていた。




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