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任侠と女たち
【調教 官能小説】

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その1-6

その町のヤクザの郷田木組のテツジは、
男の背後からはがいじめにしようとして身体をかわされた。

その時、振り返った男の後ろ回し蹴りで後頭部を打たれ、
床に無様な格好でひっくり返ったとき、
テーブルの角に額をぶつけて切ってしまったのだ。

相棒の無様な格好を見せ付けられたケンタは、懐からナイフを取り出し身構えた。
その店のママの美奈子は、最近この街もようやく落ち着いてきたと思った矢先に、
スナックでこのような修羅場を見るのは初めてだった。

その場ですぐに警察に電話をすればいいのだが、彼女はそれをしなかった。
どこかで、男がなにかをしてくれそうな感じがしたからだ。
ただ黙ってその様子を見つめている。

この街で客商売のスナックを経営する女としては、
あたふたと慌てふためく普通の女とは違っていた。

ケンタは久しぶりにかっこうの獲物を見つけたように血が騒いでいた。
襲いかかろうとする獣のような目つきで男を睨み付け、
ナイフを、右に左へと握り変えながら腰を落として身構えていた。

近くのテーブルは押しのけられ、
2人の戦場のための空間を空けていた。

額から吹き出る血をタオルで抑えながら、
テツジは興奮した目で2人を見つめている。

男は構えながら、とっさに自分の上着のジャンパーを右手に持って身構えた。
これが男の唯一の武器だった。
テツジはギラギラした目をして男を睨みつけ
何度もナイフで空を切り、男を威嚇する。

しかし、男は手に持ったジャンパーを廻しながら少し体を動かしただけで、
あまり変化は無い。その顔は涼しげで緊張した様子もない。

テツジは舌舐めずりしながら右へ左へとナイフの手を持ち変え、
ジリジリとタイミングを計っている。

「てめえ、殺してやるぞ!」
「やれるものなら、やってごらん」
「くそっ! この野郎!」

そう言うなり右手に持ったナイフでテツジはいきなり男に切り付けた。
しかし、男は体を少しよじり、テツジのナイフをひらりとかわした。

と、同時にテツジがバランスを崩し、前にのめった時に男の長い足が空を切った。
男の足がテツジの顔面を蹴り上げたのである。
「ギヤ!」と言う異様な声を出し、テツジは2メートルほど後ろに吹っ飛んだ。

蛇のように曲がったテツジの体はテーブルに思い切り打ち付けられ、
そのまま顔から床に崩れ落ちた。
彼の顔面は腫れ上がり、口から血を出して別人のように変形していた。

蹴り上げられたテツジの鼻は潰れ、端正なその鼻は曲がり、
口は裂け血がにじんでいる。
おそらく歯はに2、3本は折れているだろう。



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