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任侠と女たち
【調教 官能小説】

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その1-4


気丈にも美奈子がそれを拒否した。
そんなことをすれば彼等はますますつけあがるからである。
しかし、心の中は穏やかではない。

一人の男が凄んで、バン! とカウンターのテーブルを叩いた。
その振動でグラスが倒れて下に落ち、がちゃりと割れて音がした。

「わかりました、それなら、少しお待ち下さい」
美奈子の額からは汗が噴き出している。

少しばかりの金を渡して収めようと財布を開けようとした。
以前、郷田木組から場所代と称して「みかじめ料」を求められたことがあったが
それを断ったことがある。

その時、カンターの隅で黙って酒を飲んでいた男がゆっくりと立ち上がった。
そして、ママと2人の男に近づいていった。
その眼は鋭い目つきで、男たちをにらみつけている。
長袖をまくったその太い腕には蒼白い刺青が踊っていた。

強請りの目的でやってきたヤクザな男2人は、調子に乗っていた。
これで、なんぼかの小遣いをせしめられると、
タカをくくっていたようである。

お互いの顔を見合わせニヤリとしたとき、隅で黙って飲んでいた男が椅子から立ち上がり
ゆっくりと二人の男達に近づいていった。

男たちは、店に入ったときには全然気にしなかったが、
その見知らぬ男を見て怪訝そうな顔をした。

( 何だ、この男は?)

見たところ、身なりはきちんとしているし、同じヤクザには見えなかった。
どちらかと言うと、髪の毛は長いし凄味はなく、細面で優男といってもいい顔つきだった。

しかし、ひとたび感情が昂ぶってくると、その様相は変わっていった。
眉をひそめ、眉間に皺を寄せたその顔はさっきとは違う。

抑えていた怒りが限界にきたのだろう。
その気持ちが顔の表情に如実に現れているのだ。

店のママの美奈子は心配そうにして、この様子を見守っていた。
いざという時には、警察に電話を掛けようとは思ってはいるが、
しかしこの界隈の警察は当てにならないことも知っている。

前からヤクザとの癒着があると、人知れず知られているからだ。
よほどのことが無い限り、あまり動いてはくれない。

「なんだ、なんだ! てめえは!」
郷田木組の通称、テツジは男に睨みをきかせた。



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